全 情 報

ID番号 05924
事件名 療養補償給付不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 上野労働基準監督署長(プラチナ萬年筆)事件
争点
事案概要  ボールペン等の組立、修理、検査等の業務に従事してきた労働者の左肩の痛み、上腕のしびれにつき、業務起因性は認められないとされた事例。
参照法条 労働者災害補償保険法12条の8第2項
労働基準法75条1項
労働基準法施行規則35条別表1の2
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 職業性の疾病
裁判年月日 1992年5月18日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成1年 (行ウ) 223 
裁判結果 棄却
出典 労働判例612号40頁/労経速報1478号22頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-職業性の疾病〕
 業務起因性の存否は、当該業務に内在する、あるいは通常随伴する労働者の健康に対する有害な危険要因を客観的に考察して、当該業務と当該疾病との間に相当因果関係が認められるかどうかによって判断すべきものであると解されるから、当該労働者が自分の選択判断で通常の作業者と異なった負荷の大きい特殊な作業方法をとった場合に、それが主たる原因となって疾病を生じたとしても、相当因果関係の範囲から逸脱して発生した結果とみざるを得ず、業務起因性は認められないというほかはない。とくに、原告の場合、それ以前から肩の痛み等もしばしばあって、肩が弱いことをいわば自己の弱点のように捉えていたものとも解されるから、そうであるとすれば、原告の供述するような特殊な不自然な姿勢をとることは避けるのが当然であって、仮に原告が自らそのような姿勢をとった結果として発症に至ったと仮定しても、そのような特殊個別的な要因を業務起因性の判断に際して積極的要素として考慮に入れることはできない。このことは、原告の左示指の状態が仮に過去の労災事故に起因すると仮定しても、その状態と本件発症との間に蓋然性のある繋がりが認められない以上同断である。