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ID番号 05959
事件名 公務災害認定外裁決取消請求控訴事件
いわゆる事件名 地公災基金愛知県支部長(瑞鳳小学校教員)事件
争点
事案概要  ポートボール練習試合の審判として球技指導中に倒れ、小学校教諭の特発性脳内出血による死亡につき、公務災害にあたらないとされた事例。
参照法条 地方公務員災害補償法26条
労働者災害補償保険法7条
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
裁判年月日 1991年10月30日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (行コ) 1 
裁判結果 取消
出典 タイムズ779号168頁/労働判例602号29頁
審級関係 一審/05701/名古屋地/平 1.12.22/昭和58年(行ウ)6号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 8 以上の考え方を前提として、本件における訴外Aの死亡が公務起因性を有するかについての判断を示すこととする。
 訴外Aの先天的素因である血管腫様奇形等の破裂誘因については医学的に解明されておらず、たとえば入院して安静にしているような時に破裂することもあるとの医学的知見からすると、精神的肉体的負荷、あるいは、これからもたらされる高血圧が原因で特発性脳内出血が発症することを医学的に証明できていないのであるが、さりとてこれらが原因となりえないことも医学的に証明されているわけでもないことから、公務による精神的肉体的負荷の過重の程度その他の具体的状況によっては、それが相対的に有力な原因となったとの司法的判断ができる場合もあることは前記のとおりである。しかし、訴外Aの公務遂行に状況及びこれによりもたらされたと考えられる精神的肉体的負荷の程度はこれまでるる認定してきたとおりであって、これをもってしては、司法的判断としても同人の有していた脳内微小血管の先天的奇形が破裂したのは、自然的経過をこえて右負荷が相対的に有力な原因となったと見て、同人の死亡につき公務起因性を肯定することは未だ困難であると言わざるをえない。