全 情 報

ID番号 06037
事件名 懲戒免職処分取消請求事件
いわゆる事件名 清水郵便局事件
争点
事案概要  勤務時間中に管理者の再三の解散・就労命令に従わず、長時間にわたり集団抗議を行い、多数の組合員の勤務を欠かせたこと、多数の組合員を指導して管理者に対して暴言をはきあるいは暴力的行為をなした等を理由として懲戒免職処分とされた郵政事務官がその処分の効力を争った事例。
参照法条 国家公務員法82条1号
国家公務員法82条3号
国家公務員法98条1項
国家公務員法99条
国家公務員法101条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1992年10月8日
裁判所名 静岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (行ウ) 8 
裁判結果 棄却
出典 労働判例627号65頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 原告は、勤務時間中にもかかわらず、管理者の解散・就労命令を無視して、多数の組合員を指導して、長時間にわたり集団抗議を行い、その間、管理者に暴言を吐き、組合員に勤務を欠かせ、自らも約二時間三〇分もの長時間にわたりその職務を放棄して欠務し、職場の秩序を著しくびん乱したものというべきである。
 3 原告は、右の行動は集団抗議というような集団としての一斉の行動でなく、また、それにより職場秩序をびん乱したことはない旨主張する。
 しかしながら、当初はAのほか、原告とBら数名がC副課長に抗議を始めたものの、間もなく抗議参加者は十数名になり、その後はそれらの者によってC副課長及びD課長に対して抗議行動が行われたもので、遅くともそのころには集団としての抗議行動に至ったというべきである。しかも、同一〇時一〇分ころにその集団抗議が終わるまで、その他の集配課のほとんどの職員が作業を放棄していたことからすれば、右作業放棄は、原告らの集団抗議に呼応したものと認めるのが相当である。したがって、右の事態も集団としての一斉の行動であって、かつ、職場秩序を著しくびん乱したものというべきである。〔中略〕
 以上認定した原告の行為のうち、勤務時間中にもかかわらず、管理者の再三にわたる解散・就労命令に従わず、長時間にわたり集団抗議を行う等してみだりに勤務を欠き、多数の組合員に対し勤務を欠かせた行為(三月二八日午前の事実及び七月二三日の事実)は、国公法九八条一項、九九条、一〇一条一項、就業規則一三条に違反し、国公法八二条各号に該当し、多数の組合員を指導して、管理者に対し、集団の勢威をもって抗議を行い、暴言を吐き、あるいは暴力的行為を行うなどした行為(前同各事実)は、国公法九九条、就業規則一三条に違反し、国公法八二条一、三号に該当するというべきである。また、庁舎事務室において、多数の組合員を指導し、管理者の再三にわたる解散、制止、退去命令を無視して、管理者に対し、長時間にわたり激しい集団抗議を行い、暴言を吐き、あるいは暴力的行為を行うなどした行為(三月二八日午後の事実及び四月一七日の事実)、また、庁舎事務室において執務中の職員に対し、集団の勢威をもって暴力的行為を行い暴言を吐くなどのいやがらせを行い、執務を妨害する行為(四月四日の事実)は、国公法九九条、就業規則一三条、庁舎管理規程三条に違反し、国公法八二条一、三号に該当するというべきである。〔中略〕
 原告の裁量権違反の主張はいずれも理由がない。そして、前示のとおり、原告の非違行為は、再三にわたって行われたものであり、その内容は、暴力的行為をも伴った極めて激しいものである上、他の組合員を指導して、同人ら及び自らも、職務の繁忙時間帯に最長二時間余にわたり勤務を放棄するなど、公務員としての自覚、節度に著しく欠けたものというべきであり、しかも、原告は、本件と同種非違行為を含む非違行為により懲戒処分を四回受けたことがありながら、反省自戒することなく再び本件各非違行為に及んだことを総合考慮すると、本件処分は相当な処分であるというべきである。