全 情 報

ID番号 06074
事件名 地位保全仮処分異議申立事件
いわゆる事件名 ゾンネボード薬品事件
争点
事案概要  業績悪化による宣伝部門の廃止に伴い、同部門を担当していた管理職が整理解雇され、その効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法9条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 取締役・監査役
裁判年月日 1993年2月18日
裁判所名 東京地八王子支
裁判形式 決定
事件番号 平成4年 (モ) 1479 
裁判結果 認可
出典 労働判例627号16頁/労経速報1499号20頁
審級関係
評釈論文 山川隆一・平成5年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊852〕322~323頁1994年9月
判決理由 〔労基法の基本原則-労働者-取締役・監査役〕
 債権者Aは、債務者会社設立とともにその取締役(営業部担当の常務取締役)に就任したが、平成元年一一月、債務者会社における担当職務を他の取締役に引き継いだ後、製薬会社の株主総会において取締役に選任されていないにもかかわらず、債務者会社代表取締役らの指示により、製薬会社の常務取締役を名乗って同会社の業務部原資材倉庫を担当するようになり(ただし報酬は債務者会社から受領していた。)、それ以後、資材運搬・管理、伝票処理等裁量の余地の少ない業務に従事していたこと、債権者Aは、平成二年七月から同年一〇月までの間には、近県の病院及び薬局を訪ねて医薬品の宣伝活動を行うなど債務者会社の業務にも時折従事したが、その当時も製薬会社の業務を担当しており、宣伝活動等その一存で行う立場になく、右宣伝活動等は債務者会社代表取締役らの指示に基づくものであったこと、債務者会社及び製薬会社の役員規定には、取締役の一部の者で構成される常務会の決議によって取締役を解任する旨の規定があり、第一次解雇の際、債権者Aについては、株主総会における取締役解任の決議はなく、右規定に従った常務会の解任決議なるものに基づいての解任通知がなされたことが認められる。
 右事実によれば、債権者Aは、いわゆる在籍出向の形態により、主として製薬会社において労務を提供し、ときには債務者会社代表取締役らの指示に基づき同会社の非日常的な業務に就労し、右労務提供の対価として債務者会社から報酬を得ていたもの、すなわち債務者会社との間で労働契約を締結し、同社に使用されて賃金を受領していた労働者であるということができる。