全 情 報

ID番号 06116
事件名 公務外災害認定処分取消請求事件
いわゆる事件名 地公災基金東京都支部長(木場ポンプ所)事件
争点
事案概要  狭心症の基礎疾病を有する水道局ポンプ場における交替制勤務をしていた者が、心筋梗塞で死亡した場合につき、公務外とした支部長の処分が適法とされた事例。
参照法条 地方公務員災害補償法31条
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
裁判年月日 1990年10月11日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (行ウ) 82 
裁判結果 棄却
出典 時報1372号135頁/労働判例571号5頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 (七) 以上によれば、本件災害について、深夜勤・交代制勤務という公務そのものが狭心症という基礎疾病を誘発し又は急激にこれを悪化させて死亡の時期を早める等、それが基礎疾病と共働原因となって死亡の結果を招いたものということはできない。
 なお、(証拠略)、Aの身体的素因や生活習慣のうえでは狭心症のリスクファクターは殆ど見出されず、非生理的な深夜勤務を含む交代制勤務への長期間の従事、三・一通し勤務の導入と拡大によるこれら夜勤負担の増大、勤務場所での階段昇降による肉体的負担の増加、機械騒音による睡眠の妨害や夏季における冷房による負担等の作業環境上の有害性の存在、大規模ポンプ所での機械監視方式での責任負担の増大による精神的ストレスの増加等の公務における身体的、精神的負荷がAの狭心症の悪化とその死亡につながったと考えられるとの記載があり、証人Bも同旨の証言をするが、右各証拠は、三・一通し勤務の負担、Cポンプ所における直員の作業負担及びCポンプ所の作業環境等の証価の点で前記の説示とは異なるものであって、採用することができない。
 3 したがって、Aの死亡に公務起因性があるとは認められないから、これを公務外と認定した被告の本件処分に違法はないことになる。