全 情 報

ID番号 06302
事件名 雇用関係存在確認請求上告事件
いわゆる事件名 学校法人敬愛学園(国学館高校)事件
争点
事案概要  私立高校の教員が、テストの実施方法等につき学園の運営方針に反発するものとして解雇(第一次解雇)され、その事件に関して週刊誌へ学園、校長に対する虚偽の事実をおり混ぜ、事実を誇張した情報を提供し、学園を誹謗・中傷したとして第一次解雇を撤回したうえで解雇(第二次解雇)されたのに対して、右解雇の効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損
裁判年月日 1994年9月8日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (オ) 734 
裁判結果 破棄
出典 労働判例657号12頁/労経速報1548号3頁
審級関係 控訴審/仙台高秋田支/平 5. 2.24/平成2年(ネ)72号
評釈論文 辻村昌昭・季刊労働法175・176号253~258頁1995年8月/野田進・法律時報67巻10号80~83頁1995年9月
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕
 前記一の6及び7の事実によれば、被上告人は、文書一ないし三により、上告人の学校教育及び学校運営の根幹にかかわる事項につき、虚偽の事実を織り混ぜ、又は事実を誇張わい曲して、上告人及び校長を非難攻撃し、全体としてこれを中傷ひぼうしたものといわざるを得ない。さらに、被上告人の「週刊A」誌の記者に対する文書一及び二の情報提供行為は、前示のような問題のある情報が同誌の記事として社会一般に広く流布されることを予見ないし意図してされたものとみるべきである。以上のような被上告人の行為は、校長の名誉と信用を著しく傷付け、ひいては上告人の信用を失墜させかねないものというべきであって、上告人との間の労働契約上の信頼関係を著しく損なうものであることが明らかである。第一次解雇が校長の学校運営に批判的で勤務状況にも問題のある被上告人を排除しようとして性急にされたうらみがないではないことや、被上告人が、秋田弁護士会又は同弁護士会会長あてに前記各文書を交付したのが第一次解雇の効力をめぐる紛争中のことであったことを考慮しても、右の評価が左右されるものとはいえない。そして、被上告人の勤務状況には、前記一の3の(一)ないし(三)のような問題があったことをも考慮すれば、本件解雇が権利の濫用に当たるものということはできない。