全 情 報

ID番号 06323
事件名 解雇無効確認、損害賠償等請求控訴事件
いわゆる事件名 プランナー沖縄(旧ビューカルバーバーカンパニー)事件
争点
事案概要  米軍基地内で理容業を営む会社が、担当米軍当局から基地内での通行証を取り上げられ、基地内での作業が不可能となった従業員を解雇したことにつき、解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 已ムコトヲ得サル事由(民法628条)
裁判年月日 1992年3月12日
裁判所名 福岡高那覇支
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (ネ) 27 
裁判結果 棄却
出典 労働判例614号76頁/労経速報1480号23頁
審級関係 一審/04858/那覇地/平 2. 1.30/昭和60年(ワ)661号
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-已ムコトヲ得サル事由(民法628条)〕
 当裁判所も、控訴人らの本訴各請求は理由がなく、いずれも棄却するべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加・訂正するほかは、原判決理由説示のとおりであるから、ここにこれを引用する〔中略〕
 地位協定一二条四項には「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第一五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充当される。」と規定されており、控訴人らと被控訴人国との間で成立に争いのない甲第二五号証、第三〇号証の一、二及び弁論の全趣旨によれば、右の目的を達成するために、地位協定一五条に規定する諸機関に代わり、かつ、在日合衆国軍司令官によって代表されるアメリカ合衆国政府と日本国政府防衛施設庁長官によって代表される日本国政府との間において諸機関労務協約が締結されていること、右協約において「従業員」とは、諸機関が使用するために防衛施設庁によって提供される日本国に居住する合衆国人でないすべての民間人であることが認められるのであって、右協約が適用される従業員とは、諸機関が使用するために日本国政府によって雇用された者をいうのであるから、被控訴人会社に雇用された控訴人らは、右協約の従業員でないことは明らかである。したがって、控訴人らに対して右協約は適用されないから、控訴人らの右主張は採用することができない。
 さらに、控訴人らは、諸機関労務協約が控訴人らに対し準用ないし類推適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、右協約における従業員の雇用主は被控訴人国であり、控訴人らの雇用主は被控訴人会社であって、その法的地位はそれぞれ異なっているから、控訴人らの法的地位について配慮すべき者は、雇用主である被控訴人会社であって、被控訴人国でもなければ合衆国政府でもない。米軍と控訴人らとの関係においては、基地管理権を行使する者としての米軍と基地管理権の行使を受ける者としての控訴人らとの関係だけである。したがって、基地内で就労する日本人労働者として外観が類似しているといっても、雇傭関係における法的地位は諸機関労務協約の従業員とは本質的に異なるから、控訴人らに対し右協約を準用ないし類推適用すべきではないというべきであり、控訴人らの右主張も採用することができない。