全 情 報

ID番号 06382
事件名 地位確認仮処分申立却下決定に対する抗告事件
いわゆる事件名 ソニー事件
争点
事案概要  平成四年に、同五年および六年について年間所定労働時間を四〇時間ずつ短縮すること、短縮方法については各事業所ごとに対応することを定めた労働協約を締結し、平成五年の短縮分四〇時間は年間五日の個人別休日の取得により消化する旨の合意がなされ、右個人別休日の取得によりそれを消化したが、平成五年末に会社が、経営悪化を理由に時短の一年間延期を申し込んだのに対して、時短分として各自設定した日を個人別休日として行使する地位にあることの確認の仮処分を求めた事例。
参照法条 労働組合法15条3項
労働組合法16条
労働基準法92条
体系項目 就業規則(民事) / 就業規則と協約
裁判年月日 1994年8月10日
裁判所名 東京高
裁判形式 決定
事件番号 平成6年 (ラ) 424 
裁判結果 棄却
出典 労働判例666号47頁/労経速報1568号7頁
審級関係 一審/東京地/平 6. 3.29/平成6年(ヨ)21021号
評釈論文 近藤昭雄・労働法律旬報1350号21~28頁1994年12月25日/西谷敏・労働法律旬報1350号29~33頁1994年12月25日
判決理由 〔就業規則-就業規則と協約〕
 会社側と労働組合との間の労働協約において、年間の労働時間についての合意がある場合、その労働時間及び日の割り付け指定は、基本的には、労働基準法等の法規に違反しない限り、雇用者である会社が就業規則の形で決定し得るものであり、会社が労働組合とその労働時間及び日の割り付け指定方法について合意している場合は、その合意に従って各被傭者の具体的労働時間及び日が確定するものである。本件のように年間労働時間の短縮が労使間で合意された場合においても、短縮時間の割り付けは、労働時間及び日の消極的割り付けの意味を有するので、右の原則が妥当するものであり、会社がその短縮時間の割り付け指定、すなわち消化方法について決定し得るものというべきである。
 そうすると、抗告人らの主張する原決定別紙休日目録記載の設定日の休日としての取得は、被抗告人の具体的な休日の指定ないし休日の指定方法の決定によって初めて具体的に可能となるものというべきであるから、平成六年の労働時間の短縮の消化方法については、未だ平成五年の場合のように労使間の合意が成立するに至っていないことが明らかである以上、抗告人らが原決定別紙休日目録記載の各設定日について個人別休日とすることができる地位にあるものとは認められない。
 なお、平成六年の労働時間の短縮の消化方法について、特段の合意がない限り、平成五年の労働時間の短縮の消化方法についての合意内容と同様の扱いをすべきことになるものと解さなければならない合理的根拠はない。