全 情 報

ID番号 06383
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 フィリップス・ジャパン事件
争点
事案概要  アメリカの大学の日本校に雇用期間を一年として雇用され、過去四回にわたって契約を更新されたアメリカ人英語教師が、契約更新を拒否され、地位保全の仮処分を求めた事例。
参照法条 労働基準法14条
労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約の期間
解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1994年8月23日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成6年 (ヨ) 1819 
裁判結果 却下
出典 労働判例668号42頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約の期間〕
 債権者は、本件雇用契約は最初から雇用期間の定めのないものであったと主張するが、債権者が雇用の当初から雇用期間を一年とする雇用契約書に署名して来日している事実に照らせば、債権者の右主張は、一応認めるに足りない。
〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 本件雇用契約は過去四回にわたり更新され、債権者の勤続年数は五年に至っているが、雇用契約更新にあたっては、必ずしも機械的、形式的に雇用契約書の作成が繰り返されていたというわけではなく、賃金の額、家賃の負担などの労働条件が(最後の更新にかかるものを除き)その都度改定されており、また、新契約が締結されないときには、帰国の旅費を債務者が負担するとの約定もなされていた。かつ、債権者の在留資格自体が一年の期間を限り、これが更新されているものであったし、債務者の経営するA大学日本校においては、次第に学生数が減少していくことにより、長期にわたる雇用継続を期待するのも、債権者債務者双方ともに次第に困難となっていく事情もあった。
三 以上によれば、本件において、期間満了後の雇用の継続を期待することに合理性が存在したものとは未だ言い難く、雇用期間の定めのある雇用契約が雇用期間の定めのない雇用契約に転化したものとは認め難い。
 よって、本件雇用契約は、平成六年三月末日の経過をもって、雇用期間満了により終了したものというべきであり、本件申立は、被保全権利の疎明がないことに帰する。