全 情 報

ID番号 06437
事件名 解雇予告手当等請求控訴事件
いわゆる事件名 全国資格研修センター事件
争点
事案概要  労働基準法二〇条の解雇予告は解雇の確定的な意思を明示する必要があり、「がんばってもらわないと、このままでは三〇日後に解雇する」旨の通告は右意思表示とはいえず、解雇予告手当の支払いが必要とされた事例。
参照法条 労働基準法20条
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告 / 解雇予告の方法
裁判年月日 1995年1月27日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (レ) 178 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1561号30頁/労働判例680号86頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇予告-解雇予告の方法〕
 ところで、労働基準法二〇条所定の「解雇の予告」は、使用者が労働者に対し、確定的に解雇の意思を明示することを要すると解するのが相当であるところ、右認定の事実によると、Aは、被控訴人に対し、平成六年一月一〇日において告げた事実は、「がんばってもらわないと、このままでは三〇日後に解雇する。」旨通告しているものの、その内容自体曖昧であるほか、その趣旨を善解するも、被控訴人が業績を上げなければ一か月後に解雇することがあるかもしれないという解雇の可能性を示すものにすぎないとの趣意を越えるものではなく、加えて、その後、控訴人は被控訴人の申し出を受け入れて被控訴人の勤務実績を観察したことに徴すると、Aの被控訴人に対する右通告をもって確定的な解雇の意思を予告したものとは到底認めることができない。
 なお、控訴人は、Aが被控訴人に対し、右同日に通告した内容は「三〇日後に解雇する。最後くらいがんばってもらわないと」ということであった旨主張するが、右事実を認めるに足りる証拠は全くないばかりか、右認定にかかるAの被控訴人に対する右通告後の事実関係に徴すると、右主張のような通告はなされなかったことを窺うことができる。