全 情 報

ID番号 06620
事件名 雇用関係存続確認等請求事件
いわゆる事件名 日本マーク事件
争点
事案概要  総務部マネージャーに対する日頃の言動とする解雇(主位的解雇)、および他での無許可就業を理由とする解雇(予備的解雇)につき、解雇理由には該当しないとした事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
解雇(民事) / 解雇事由 / 二重就職・兼業・アルバイト
裁判年月日 1996年1月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 866 
裁判結果 認容,一部棄却,一部却下
出典 労働判例688号18頁/労経速報1598号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 原告がマンスリー・レポートを指示どおりに提出しなかったことは、確かに就業規則二三条に該当しているが、このために被告の業務遂行上いかなる支障が生じたかについては、本件全証拠によるも明らかではないし、又、原告が大阪営業所に出張した際怒鳴って冷静さを欠いたことについても、その後間もなくA社長になだめられて落ち着きを取り戻し、予定どおり会議を遂行させているのであり、この他原告が外部の者に「社長は気が小さい」等とA社長を軽んじた発言をしたこと等既に認定済みの様々な事情や、被告が原告に特段の能力を期待し、総務・人事・渉外を統括する「業務部マネージャー」と職務を特定して原告を雇用し、その職務にふさわしい高額の給与を支払っていた等の事情を考慮しても、原告の就業状況が著しく不良で就業に適しなかったと認めることはできないので、原告が就業規則一八条七号に該当するとは認められない。
〔解雇-解雇事由-二重就職・兼業〕
 「会社の許可を受けずに他の会社の業務又は他の職業に従事すること」を禁止した就業規則二六条三号は、被告における労務遂行の阻害となることを防止することを主な目的として設けられた規定であると理解できるので、同号適用の対象となる従業員は、被告において現実に就労を継続していることが必要であると認められるところ、仮に原告が被告主張のとおり、平成五年六月以前から他の就労先において勤務し、そこから収入を得ていたとしても、原告は既に平成四年一〇月二八日に主位的解雇をされてからは、被告において現実に就労することができない状態に至っているのであるから、同号適用の前提を欠き、原告についてこれを適用することはできないものといわなければならない。又、原告が主位的解雇以前、現実に被告において就労していた間に、被告主張の就労先において就労していたことを認めるに足りる証拠もない。そうすると、原告については、右就業規則違反の事実は認められないのであるから、これを理由にした予備的解雇も無効であると認められる。