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ID番号 06729
事件名 懲戒免職処分の禁止を求める仮処分申請控訴事件
いわゆる事件名 国鉄清算事業団(横浜人活センター)事件
争点
事案概要  国鉄改革の一環として設置された人活センターへの配属に伴い、国労所属組合員である右人活センター職員が検修詰所を不法に占拠したこと、始業時刻を遵守しなかったこと、管理者に対して暴言・暴行をはいたこと、管理者執務室へ乱入したこと等の非違行為を理由に懲戒免職処分を受けたのに対して、その効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1995年6月30日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (ネ) 349 
裁判結果 棄却
出典 労働判例689号78頁
審級関係 一審/横浜地/平 6. 2. 1/不明
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 当裁判所も、被控訴人らの本件各仮処分申請は、原判決が認容した限度において正当としてこれを認容すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の「第三 争点に対する判断」に記載の理由説示と同一であるからこれをここに引用する。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 仮に、控訴人主張のとおり被控訴人らの右一連の行為が本件懲戒処分の処分事由に含まれるとしても、原判決別紙懲戒処分事由一覧表の記載内容などに照らすと、当時の国鉄は、右一覧表記載の各暴行行為が、右三日間の一連の行為のうちで最も違法性の顕著な行為であると判断し、これに基づいて本件懲戒処分を発令したものであると認められるところ、前記のとおり、右暴行行為の存在を認めるに足りる的確な証拠がないとすると、それ以外の一連の行為のみをもって、免職処分にまで処するのは、前記認定のような右行為に至るまでの背景や労使の強い対立関係があるなどの諸事情の下では、懲戒権の濫用として許されないものと言わざるを得ない。現に、右三日間の一連の行為を理由として、横浜人活センターの兼務職員二五名全員が懲戒処分を受けているが、被控訴人ら五名を除く、右暴行行為以外の非違行為を行ったと認定された兼務職員二〇名は、いずれも、免職処分にまでは至らず、停職ないし減給の懲戒処分を受けたに止まっている(〈証拠略〉)。 したがって、結局、被控訴人らに対する本件懲戒処分は無効であるというべきである。