全 情 報

ID番号 07036
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 日本交通事件
争点
事案概要  タクシー乗務員が一か月に一三回乗務する月においては、一乗務を「ナイト乗務」とし夜間専用車両に乗務させる勤務体制がとられている場合に、右ナイト乗務を拒否する目的で年次休暇の時季指定をしたことにつき、特定の業務への嫌悪から同業務の就労を拒否するために年次休暇権を行使する場合には、本来の年次休暇制度の趣旨に反し、年次休暇権行使の濫用に当たり許されないとされた事例。
参照法条 労働基準法39条4項
民法1条3項
体系項目 年休(民事) / 年休権の濫用
裁判年月日 1997年10月29日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 2543 
裁判結果 一部認容、一部棄却(控訴)
出典 労働民例集48巻5-6号510頁/時報1626号141頁/タイムズ967号149頁/労働判例731号28頁/労経速報1654号3頁
審級関係
評釈論文 沼田雅之・法学志林〔法政大学〕96巻2号123~132頁1999年1月/中村涼子・ジュリスト1144号124~126頁1998年11月1日/長久保尚善・平成10年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊1005〕332頁1999年9月/長淵満男・判例評論476〔判例時報1646〕226~230頁1998年10月1日/野田進・法律時報70巻12号116~119頁1998年11月
判決理由 〔年休-年休権の濫用〕
 原告らの本件年休指定のうち、原告X1(原告番号八)及び原告X2(同一三)については、それぞれ囲碁部の旅行又はA労組の旗開きに参加するために年次休暇の時季指定をしたものと認められ、加えて、同原告らの所属する各営業所の管理者において、他の日へナイト乗務の振り替えに応じるか否かを確認したことを窺わせる証拠がないことからすれば、同原告らがナイト乗務を拒否する目的で年次休暇の時季指定を行ったとまでは認めることができない。しかし、原告X1及び原告X2を除くその余の原告らについては、ナイト乗務をしたくないがために、割り当てられたナイト乗務の就労を拒否する目的で年次休暇の時季指定を行ったものと認められるから、いずれも権利の濫用であって無効というべきである。