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ID番号 07254
事件名 損害賠償請求控訴事件
いわゆる事件名 大阪市立中学校セクシュアルハラスメント事件
争点
事案概要  大阪市立中学校の教師が、同僚の女性教師に対して職場で彼女は性的な欲求が満たされていない等性的な発言を含む誹謗中傷を繰り返したことが人格権の侵害に当たるとして、女性教師が損害賠償を請求したケースで五〇万円の慰謝料を認めた原判決が、三〇万円の慰謝料に減額される内容に変更された事例。
参照法条 男女雇用機会均等法21条
民法709条
民法710条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント
裁判年月日 1998年12月22日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 平成9年 (ネ) 2821 
裁判結果 原判決変更、一部認容、一部棄却(上告)
出典 労働判例767号19頁
審級関係 上告審/最高二小/平11. 6.11/平成11年(オ)469号
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント〕
 控訴人が、同人に対し、平成五年一〇月末頃、一〇人近い職員が在室する同校職員室において、英語で「Aが生徒に厳しく当たっているのは性的に不満があるからだ」と言い、また、平成六年の新年会二次会のため同僚約一〇人とカラオケボックスに行った際、英語で「彼女は性的に満足するため男を必要としていた」と言ったと供述するところ、控訴人は右発言を全面的に否定し、Bは日本でいい職を得るため被控訴人と格別親しいCに取入る目的で被控訴人に迎合的な供述をしたと主張する。しかし、Bの証言の一部にそのような点があったとしても、同人が右のような内容の発言を捏造したと認めることは困難である。そして、カラオケボックスに同席した当審証人(人証略)も、控訴人の右発言を明確には否定せず、且つ、Bの供述が全て虚偽であるとも言っていないことに照らすと、控訴人はBに対し右のような発言をしたと認めるのが相当である。〔中略〕
 1 訴訟人の発言の違法性
 (一) Cに対する発言
 二1認定の発言はそれ自体直ちに違法性を有するとはいえず、且つ、内容が虚偽であると認めることもできないから、違法であるとはいえない。
 (二) Dに対する発言
 同2認定の発言は、それ自体直ちに違法性を有するとはいえず、そうでないとしても違法性は微弱であるところ、内容が虚偽であると認めることはできないから、直ちに違法であるとは認め難い。
 (三) Bに対する発言
 (1) 同3(一)認定の発言のうち、〔中略〕
 対面式における発言はBに被控訴人との間でトラブルが起きた時は相談に来るよう助言した趣旨とも解することができるから、直ちに違法であるとは断定できないが、その余の発言のうち、被控訴人が教師として良くない旨の発言は、軽々に口にすべきことではなく、同僚教師の発言として許される限度を超えており、それ自体違法であるといっていい。
 (2) 同(二)認定の発言が性的侮辱として被控訴人の人格権を侵害する違法行為であることは多言を要しない。
 (四) 被控訴人は、控訴人が被控訴人の英語力、英語学会における活躍等を妬み被控訴人を陥れる目的で右のような発言を繰返したと主張する。
 確かに、(証拠・人証略)、弁論の全趣旨によると、被控訴人の学校外における英語教育活動は目ざましいものであるが、(証拠略)、弁論の全趣旨によると、控訴人もまた熱心に英語教育活動を実践し、学校内外において相応の地歩を固めつつあること、そして、(証拠・人証略)、弁論の全趣旨によると、被控訴人は同校の教職員と必ずしも十分な和を保っていたとはいえないことに照らすと、先輩格である控訴人が被控訴人に不満を持っていたであろうことはともかく、単純に妬んでいたと極め付けるのは早計であり当を得ないであろう。尤も、右は控訴人の前記発言を正当化するものでないことは言うまでもない。
 2 被控訴人の損害
 被控訴人が控訴人の前記発言により人格権を侵害され精神的損害を被ったことは明らかであるところ、慰謝料額は三〇万円が相当と認める。