全 情 報

ID番号 07436
事件名 解雇予告手当請求事件
いわゆる事件名 シティズ事件
争点
事案概要  金銭貸付け等を業とする会社に採用された労働者が、社員は採用される際には履歴書等とともに、身元保証書(保証人二名連署、印鑑証明書添付)を提出しなければならない旨の就業規則の規定に基づいて、身元保証書(保証人二名)の提出を求められたが、その身元保証書(保証人二名)の提出を拒否したことから、予告なく解雇されたとして解雇予告手当金及び遅延損害金を請求し、労働基準法二〇条一項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者が予告なく即時に解雇されてもやむを得ないと客観的に認められる重大で悪質なものであることをいい、右身元保証書の不提出は右でいう労働者の責めに帰すべき事由に当たらないとして請求が認容された事例。
参照法条 労働基準法20条1項但書
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 労働者の責に帰すべき事由
裁判年月日 1999年6月21日
裁判所名 東京簡
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (ハ) 76 
裁判結果 一部認容、一部棄却(控訴)
出典 労働判例780号65頁/労経速報51巻19号28頁
審級関係 控訴審/07476/東京地/平11.12.16/平成11年(レ)262号
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇予告と除外認定-労働者の責に帰すべき事由〕
 (2) 労働基準法は、労働者の責めに帰すべき事由に基づいてその労働者を解雇する場合には、例外的に、解雇予告手当金の支給をすることなく、即時解雇ができることを認めている。この場合の、労働者の責めに帰すべき事由とは、一定期間の無断欠勤、職務上の著しい不正行為など、労働者が予告なく即時解雇されてもやむを得ないと客観的に認められる重大で悪質なものであることが必要とされており、就業規則で懲戒解雇に当たるとされている事由であっても、常に解雇予告が必要でないとはいえないとされている。〔中略〕
〔解雇-解雇予告と除外認定-労働者の責に帰すべき事由〕
 原告は、平成一〇年二月二日に被告会社に入社したが、それから五か月余り経過した七月七日になって、Aが正式な形で提出期限を定めて身元保証書の提出を求めたことが認められる。被告会社では、就業規則(〈証拠略〉)で身元保証書の提出が正社員採用の条件とされているのであるから、本当にその提出を求めるつもりであれば、原告の採用と同時に又は採用後、例え(ママ)試用期間中であっても、原告は既に営業の仕事をしていたのであるから、速やかにその提出を求めることができたにもかかわらず、原告の入社後五か月余り経過した七月七日になって、七月中という期限を定めて身元保証書の提出を求め、その提出がなかったとして予告なく即時解雇したことは、それが被告会社の就業規則では解雇事由に当たるかどうかはともかく、予告なく即時解雇する場合に必要な、原告の責めに帰すべき事由に当たるということはできない。