全 情 報

ID番号 07485
事件名 解雇無効請求事件
いわゆる事件名 フジクラ事件
争点
事案概要  人事部分室に配属され専門職級五級であった労働者X(それ以前には、同僚や上司との協調を保つことができないことが原因で、入社後の実習終了後の約六年間で四か所の配転がなされている)が、会社Yから、同僚や上司との協調保持に問題があり、Xの配属を拒否する職場が相次いで生じ、引き取る職場がないこと等を理由に退職勧奨書を受諾するように勧められ、その書類には、退職勧奨が受け入れられない場合には就業規則に基づく手続をとる旨の記載があったことから、受諾しなければ解雇されると理解し、退職届を提出し退職したが、本件退職勧奨は、理由がないにもかかわらずなされたもので違法であり、また提示された退職をせずに会社に残留した場合の条件が半ば退職を強制的に選択せざるを得ない内容であり、更に再就職の可能性に関する情報が提供された等と主張して、(1)本件退職は無効であることの確認、(2)本件退職が無効であるならば、現時点で企画専門職六級に昇格していたはずであるとして、六級以上の職級で再雇用することの請求及び賃金支払等を請求したケースで、再就職に関する情報の提供の事実があったかは定かではないが、たとえそれについて検討されたとしても、退職勧奨に応じた従たる理由に錯誤があったにすぎず、そのような錯誤は退職の意思表示の錯誤に当たらず、本件合意解約は有効であるとして請求が棄却され、その余のいずれの請求も棄却された事例。
参照法条 民法627条1項
民法95条
民法96条
体系項目 退職 / 退職願 / 退職願と錯誤
退職 / 退職願 / 退職願と強迫
裁判年月日 1999年12月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (ワ) 13534 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1747号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔退職-退職願-退職願と錯誤〕
 仮にA人事部長が原告の主張のとおり残留の条件を提示し、原告の主張のとおりA人事部長が提供した再就職の可能性に関する情報が誤っていたとしても、それは原告が退職勧奨に応じた従たる理由について錯誤があったにすぎないのであり、そのような錯誤が退職の意思表示の要素の錯誤に当たると解することはできないから、そのような錯誤を理由に原告の退職の意思表示が無効となるということはできない。
〔退職-退職願-退職願と強迫〕
 退職勧奨がその態様、手続などの点から強迫と評価される場合には、その退職勧奨に基づいてされた退職の意思表示は強迫によりされた意思表示として取り消し得べきものとされるが、被告が原告に退職を勧奨した経過(前記第三の一1)に照らせば、被告による原告に対する退職勧奨がその態様、手続などの点から強迫と評価される余地はないというべきである。
 そうすると、原告には被告から退職勧奨を受ける理由はないにもかかわらず退職を勧奨されたことは違法であるという主張は、その余の点について判断するまでもなく、採用できない。
 (四) 以上によれば、本件退職が無効であるということはできない。