全 情 報

ID番号 07933
事件名 再就職支援金請求事件
いわゆる事件名 近畿車輛事件
争点
事案概要  車両の製造修理販売等を目的とする会社Yの従業員Xが、Yから転籍を命じられ、転籍先での採用が内定していたが、勤務地が東京以遠となる予定であり、しかも労働条件が明示されなかったことから、転籍に応じず、退職を申し出たところ、Yが募集していた希望退職(満年齢四五歳未満で、転勤が困難な従業員については、退職金は会社都合扱いにし、再就職支援サービスを受けない者には基準内賃金の三か月分を支給する旨の条件であった)に応募し、再就職支援サービスを受けなかったと主張して、再就職支援金の支払を請求したケースで、Xの職場においては、従業員は転籍予定者が退職しても、希望退職者に含まれると認識していたことが認められるが、その認識は正確ではなかったもので、これをもって、転籍予定者がこれが困難であるという理由で退職した場合に希望退職者として扱われていたと認定することはできないなどからXは希望退職募集の対象範囲外であったといわなければならないとして、Xの請求が棄却された事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 賃金請求権の発生時期・根拠
賃金(民事) / 退職金 / 会社都合特別加算等
裁判年月日 2002年3月22日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成13年 (ワ) 11657 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1816号22頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-賃金請求権の発生時期・根拠〕
〔賃金-退職金-会社都合特別加算等〕
 原告の職場においては、従業員は、転籍予定者が退職しても、希望退職者に含まれると認識していたことが認められるが、その認識は正確でなかったもので、これをもって、転籍予定者がこれが困難であるという理由で退職した場合に希望退職者として扱われていたと認定することはできない。また、原告本人は、被告に不要の人材のように言われて、転籍を強く勧められたのであるから、その後に慰留されても、これに応じることはできず、希望退職者として扱われるべきである旨述べるが、だからといって、原告を希望退職者として扱わなければならないということにはならない。
 これらによれば、原告は、希望退職者募集の対象範囲外であったといわなければならない。