全 情 報

ID番号 08035
事件名 著作権使用差止請求控訴事件
いわゆる事件名 エーシーシープロダクション製作スタジオ(著作権使用差止請求)事件
争点
事案概要 アニメーション等の企画、撮影等を業とする株式会社Yスタジオで10数枚の図画を製作した中国国籍を有するデザイナーXが、Yとの間に著作者名の表示、著作権に関し、意見の対立が生じたため、Yとの間にキャラクターデザイナーとしての請負ないし準委任契約を締結していたとして、その著作権を主張し、〔1〕本件図画を使用したアニメーション作品の頒布、頒布のための広告および展示の差止めと、〔2〕1,500万円の損害賠償を請求したケースの控訴審で、Xの請求をすべて棄却した原審に対して、一部の期間を除いてXY間に雇用契約が成立したと認めることはできないとして、Xの請求を一部認容した事例。
参照法条 労働基準法2章
著作権法15条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 著作権
裁判年月日 2000年11月9日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成11年 (ネ) 4341 
裁判結果 原判決変更(上告)
出典 時報1746号135頁/労働判例849号27頁/判工
審級関係 差戻控訴審/東京高/平16. 1.30/平成15年(ネ)2088号
評釈論文 岡邦俊・JCAジャーナル50巻9号62~65頁2003年9月/中嶋士元也・ジュリスト1235号98~101頁2002年12月1日/柳沢眞実子・コピライト478号63~64頁2001年2月
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-著作権〕
 第1回目の来日期間中に作成、創作された本件図画一ないし五及び一九ないし二三、第2回目の来日期間中に作成、創作された本件図画六及び九並びにその後の香港滞在中に作成、創作された本件図画八については、雇用契約に基づき職務上作成されたものであるとする被控訴人の主張は認めることができず、著作権法15条1項の規定に基づき被控訴人が著作者であると認めることはできないし、また後に被控訴人がその著作権の譲渡を受けたことの主張、立証もない。しかし、第3回目の来日期間中に作成、創作された本件図画七及び一〇ないし一七は、被控訴人と控訴人との間の雇用契約が成立した後に作成、創作されたものであり、また、前示事実及び弁論の全趣旨に照らし、本件図画七及び一〇ないし一七の作成は法人である被控訴人の発意に基づくものであり、かつ、これらの本件図画は被控訴人の法人名義の下に公表することが予定されているものであると認められるので、著作権法15条1項の規定に基づき、被控訴人が著作者であると認めることができる。〔中略〕
 前示のとおり、被控訴人は、本件図画を使用したRGBアドベンチャーを製作し、これをショウスキャン用として米国のA社に配給し、日本では、東京都世田谷区のテーマパーク「B」におけるアトラクションとして上映されたものであるところ、控訴人の氏名は、RGBアドベンチャーにおいて本件図画の著作者として表示されておらず、被控訴人のこれらの製作、配給等は、控訴人の本件図画一ないし六、八、九及び一九ないし二三の著作権及び著作者人格権を侵害するものである。
 そして、(証拠略)(RGBアドベンチャーを収録したビデオテープ)及び弁論の全趣旨によれば、RGBアドベンチャーにおいて使用されている控訴人著作に係る右の本件図画は、不可分的にRGBアドベンチャーに使用されているものであり、また、被控訴人がRGBアドベンチャーを配給するおそれがあると認められるので、本件図画一ないし六、八、九及び一九ないし二三を使用したRGBアドベンチャーの頒布、又は頒布のための広告・展示の差止めを求める控訴人の請求は理由がある。