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ID番号 08977
事件名 未払賃金請事件求
いわゆる事件名 TBCグループ事件
争点 役職の降格に伴う職務給及び役職手当の減額等の有効性が争われた事案(労働者一部勝訴)
事案概要 (1) TBCグループ(株)(Y)と雇用契約を締結し労務を提供していた原告(X)が、人事異動に際して職務給及び役職手当の減額ならびに特別手当の支給停止が無効であるとして提訴したもの。
(2) 東京地裁は、本件職務給及び役職手当の減額は無効であり、特別手当の支給停止は有効であると判断した。
参照法条 民法1条
労働契約法
体系項目 労働契約(民事)/人事権/降格
賃金(民事)/賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額
裁判年月日 2014年10月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成25年(ワ)4510号
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労働判例1111号79頁
審級関係 控訴
評釈論文
判決理由 職務給及び役職手当の減額について
人事権の行使としての降格のうち、本件のように役職を低下させるものにすぎないものについては、使用者は、成績不良や職務適正の欠如などの業務上の必要性があり権利濫用に当たらない限り、その裁量に基づきこれを行うことができるものと解される。
Yにおける役職と職務給との間には、役職の降格があれば、職務給もほぼ減額されるという関係があることからすれば、Yの賃金制度において、職務給は、役割の変更と連動しているものと認められる。
Yにおいて、本件降格を行うべき、Xの成績不良や職務適正の欠如などの業務上の必要性があったということはできない。
したがって、本件降格に伴う職務給及び役職手当の減額は、本件降格が無効であることから、その前提を欠くものとして無効であり、Xは、Yに対し、上記(略)減額分の支払を求めることができる。
特別手当の支給停止について
特別手当は、臨時かつ一時的なものとして支給されたものと認めるのが相当である。
特別手当の支給には、Yの広い裁量がある。
Xが、本件雇用契約の内容として、特別手当について具体的な支払請求権を有していると認めることはできないのであり、Yがした特別手当の支給停止はその裁量の範囲のものとして有効であるというべきである。