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ID番号 09015
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 すみれ介護事件
争点 競業避止義務違反行為の有無が争われた事案(使用者敗訴)
事案概要 (1) 原告(X)は、被告ら(Yら)の競業避止義務違反行為により損害を被ったとして、Yらに対し不法行為又は債務不履行に基づき、損害賠償等請求し提訴したもの。
(2) 東京地裁は、競業避止義務違反はないとして請求を棄却した。
参照法条 民法415条
民法709条
体系項目 労働契約(民事)/労働契約上の権利義務/競業避止義務
裁判年月日 2014年11月7日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成24年(ワ)64号
裁判結果 棄却
出典 ウエストロー・ジャパン
審級関係
評釈論文
判決理由 争点1(Yらの債務不履行責任及び不法行為責任の有無)について
争点1(1)(Y1及びY2の責任)について
ア Y1及びY2がXを退職した平成23年9月30日以前の責任について
Xが主張する(中略)行為が平成23年9月30日以前に行われたものであることについては、これを認めるに足りる証拠は全くないというほかなく、これをもってY1及び被告Y2(中略)の債務の不履行の根拠とすることはできない。
イ Y1及びY2がXを退職した日の翌日である平成23年10月1日以降の責任について
前提となる事実によれば、Y1及びY2は、それぞれ平成23年10月25日に別紙3(略)の、同月3日に別紙2(略)の各誓約書に署名押印又は署名をした。
もっとも、前記前提となる事実によれば、前記各誓約書は、「2 貴社と競業関係となる次の事項については、事前に貴社と協議する。①貴社と競業関係となる事業の起業又はこれへの参画 ②現に貴社と競業関係にある企業への就職(役員就任を含む)又は関与(顧問、相談役等への就任及びコンサルティング)」という条項が定められているというのであるところ、同条項の文言上、競業関係となる事業の起業、参画、就職又は関与それ自体を禁止するものではなく、事前の協議を求めるにすぎないものではあるものの、その限度においてはY1及びY2に対し、本件介護事業と同種の事業を営む自由を制限するものである上、その制限の期間に限定がなく、競業と認められる事業の範囲、距離的限界も特定されたものではないのであるから、Y1及びY2が前記各誓約書に署名押印又は署名したとしても、それによって法的に拘束力のある合意が成立したとは認め難い。
そうすると、前記前提となる事実によれば、被告会社は、平成23年10月1日以降、本件介護事業と競業関係に立つ事業を営んでいたというのであるが、このことをもって、Xに対する債務不履行又は不法行為責任が成立するとはいえない。
争点1(2)(被告会社の責任)について
前記(1)において説示したとおり、Y1及びY2について債務不履行又は不法行為の責任があるとはいえないから、被告会社についても、債務不履行又は不法行為の責任があるとはいえない。この点に関するXの主張は理由がない。