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ID番号 10081
事件名 地方公務員法違反被告事件
いわゆる事件名 都教組勤評反対闘争事件
争点
事案概要  地公法違反の争議行為をあおったとして、同法六一条四号違反として起訴された事案において、一斉休暇闘争と年次有給休暇の関係について判断された事例。
参照法条 労働基準法39条
地方公務員法61条4号
体系項目 年休(刑事) / 年休の付与
裁判年月日 1962年4月18日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和33年 (特わ) 436 
昭和33年 (特わ) 437 
昭和33年 (特わ) 438 
昭和33年 (特わ) 439 
昭和33年 (特わ) 440 
裁判結果 無罪(控訴)
出典 下級刑集4巻3・4合併号303頁/時報304号4頁/タイムズ132号76頁/教職員人事判例2号341頁
審級関係 控訴審/東京高/昭40.11.16/昭和37年(う)1188号
評釈論文
判決理由 〔年休-年休の付与〕
 年次有給休暇制度は、労働者を毎年一定期間労働から解放し、精神的、肉体的休養をとらせ、その労働力の推持、培養に役立たせるため確立されたものであつて、労働者のためのものであると同時に使用者のためのものでもある。なぜならば労働者が有給休暇によつて労働力を維持、培養することは労使双方にとつて大きな意義をもつからである。さればこの制度は労働者が使用者の指揮命令に従つてその労働力を提供するという労使間の正常な作業体制を前提として認められているというべきであるから、有給休暇の利用方法は労働者の自由であるといつても、それは労使間の正常な作業体制を前提とする有給休暇の枠内でのみ妥当するというべきである。ところが争議行為は労使間の正常な作業体制を一時的に破壊することを本質とするから、争議行為と有給休暇は本質的に相容れない性質のものである。そこで有給休暇届を提出して職場を離脱することが実体において争議行為であると評価されるときは、これを労働基準法上正当な有給休暇として取り扱うことはできない。それではそのいかなる場合が実体において争議行為であると評価されるか。それは組織的、集団的に一定の争議目的をもつて有給休暇届を提出して職場を離脱し、業務の正常な運営を阻害する場合である、前掲各証拠によると、本件統一行動は、勤務評定制度の実施に反対するという中心の争議目的をもつて、都教組の決定に従い組織的、集団的に有給休暇届を提出して職場を離脱し、さきに認定したとおり学校の事業の正常な運営を阻害するものと認められるものであるから、年次有給休暇請求権が、労働者の請求のみによつて効力を発生する形成権であるか、使用者の承認を要する請求権であるかということを論ずるまでもなく、また有給休暇請求に対する校長の処置の当否を論ずるまでもなく、この行動は地方公務員法第三十七条第一項前段に規定する同盟罷業としての評価を受けなければならない。