全 情 報

ID番号 10312
事件名 労働基準法違反事件
いわゆる事件名 帝国金属工業事件
争点
事案概要  休業手当の支払を遅滞として会社重役が労基法二六条違反に問われた事例。
参照法条 労働基準法26条
労働基準法120条
体系項目 賃金(刑事) / 休業手当
裁判年月日 1949年10月8日
裁判所名 仙台高
裁判形式 判決
事件番号 昭和24年 (を) 150 
裁判結果 無罪
出典 高裁刑特報1号190頁/裁判資料55号615頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-休業手当〕
 原審は、被告人は昭和二十三年九月六日から同年十一月末日迄の休業手当合計四十一万九千八百四十四円五十二銭を昭和二十四年三月二十二日まで支払を遅滞した旨を認定して労働基準法第二十六条違反に問擬したのであるが、原判決挙示の証拠中にもある検察官のAに対する聴取書、検察事務官のA、Bに対する各聴取書中の同人等の供述記載及び原審第二回公判調書中証人Bの供述記載等を綜合すると、本件休業手当については、昭和二十三年九月二十二日被告人その他の会社側代表と、会社従業員の労働組合執行委員長Bその他の労働組合側代表とが団体交渉をしてその支払を協定した当時から、会社側としては経営困難で、現金は皆無であるから、銀行からの借入及び売掛金の回収に努め、資金調達のでき次第支払うからそれまでは猶予して欲しいと申入れ、組合側も事情を諒として之を承諾したもので、その後会社側では百方奔走して資金の調達に努めたが成功せず、止むなく数回に亘つて休業を延長するとともにその都度組合側に申入れて前同様の事由による休業手当支払の猶予を求め、組合側も之を承諾していたものであること、なお、右休業手当の支給を受ける権利を有する従業員は全部右労働組合に加入していたものであること等を認めることができ、しかも記録を通じて之に反対の認定をすべき資料はない。而して、このように労働者が団体交渉によつてその支払を猶予している場合には、使用者の休業手当不払があつても、之を以て支払の遅滞ということを得ず、労働基準法第二十六条に違反するものではないと解するのを相当とする。