全 情 報

ID番号 90012
事件名 退職金返還請求事件
いわゆる事件名 阪神高速道路公団事件
争点 退職した後に在籍中の懲戒解雇事由に該当する不正行為が発覚した場合、退職金の返還を求められるかが争われた事案
事案概要 (1) 高速道路を建設・管理する公団Yは、昭和62年6月に退職し、既に退職金約900万円強を受領した職員Xが、同年11月に在職時の収賄容疑で逮捕され、翌年3月の罪状認否では起訴事実を全面的に認めたことから、懲戒免職相当とのYの懲戒委員会の答申を得て、職員退職手当支給規程の定めるところにより退職金の返還を同年4月に求めたが、猶予期間を過ぎても返還されなかったため、退職金の返還と遅延損害金の支払いを求めて提訴した。
(2) 大阪地裁は、Xの収賄は、懲戒免職事由に該当し、職員退職手当支給規程の定めるところに基づき、Yは既に支払った退職金の全額の返還請求権を有すると判示した。  
参照法条
体系項目 賃金(民事)/退職金/懲戒等の際の支給制限
懲戒・懲戒解雇/労働契約が終了した後の懲戒解雇の効力
裁判年月日 1988年11月2日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年(ワ)4998号 
裁判結果 認容
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金(民事)/退職金/懲戒等の際の支給制限〕
〔懲戒・懲戒解雇/労働契約が終了した後の懲戒解雇の効力〕
(前略)XがY在職中に、関係業者から合計五四〇万円の賄賂を収受したことは当事者間に争いがないところ、Xが関係業者に提供した情報が職務に関する秘密か否かはともかくとして、右賄賂を収受したことは、在職中の職務に関し懲戒による免職を受ける事由に該当し、本件規程四条二項の退職金の返還に関する規定(「職員が退職後、在職中の職務に関し、懲戒による免職を受ける事由に相当する事実が明らかになったときは、すでに支給した退職金を返還させ、又は退職金を支給しないことができる。」)に基づき、YはXに対し支給ずみの退職手当九〇六万七〇〇〇円の返還請求権を有するものと認定判断することができる。