全 情 報

ID番号 00060
事件名 不当利得金返還請求事件
いわゆる事件名 秋田相互銀行事件
争点
事案概要  被告会社では基本給の中心をなす本人給を扶養家族の有る者と無い者とに分けた本人給表により支給すると定めていたが、実際には扶養家族の有無に関係なく、男子行員には前者が、女子行員には後者が適用されていたので、女子行員らが、男子に適用された基準による給与との差額の支払を請求した事例。(請求認容)
参照法条 労働基準法4条,11条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 男女同一賃金、同一労働同一賃金
裁判年月日 1975年4月10日
裁判所名 秋田地
裁判形式 判決
事件番号 昭和46年 (ワ) 210 
裁判結果 認容(確定)
出典 労働民例集26巻2号388頁/時報778号27頁/タイムズ321号162頁
審級関係
評釈論文 山口浩一郎・ジュリスト626号128頁/小西国友・判例評論202号35頁/青木宗也・労働法学研究会報1098号1頁/島田信義・労働226号4頁/浜田冨士郎・季刊労働法97号28頁/平川亮一・労働判例百選<第四版>〔別冊ジュリスト72号〕88頁/木村五郎・昭和50年度重要判例解説〔ジュリスト615号〕183頁/林弘子・ジュリスト719号90頁
判決理由  被告が本人給を決定する場合において、女子行員に対し、年令に応じ当該年度の(2)表またはB表に掲げる金額の支払をしたことは、女子について男子と差別的取扱をしたものであるといわなければならない。
 五、このように、労働契約において、使用者が、労働者が女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱いをした場合には、労働契約の右の部分は、労働基準法四条に違反して無効であるから、女子は男子に支払われた金額との差額を請求することができるものと解するのを相当とする。けだし、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とされ、この無効となった部分は、労働基準法で定める基準による旨の労働基準法一三条の趣旨は、同法四条違反のような重大な違反がある契約については、より一層この無効となった空白の部分を補充するためのものとして援用することができるものとみなければならないからである。
 原告らの賃金差額を求める請求は理由がある。