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ID番号 00095
事件名 従業員地位確認請求控訴事件
いわゆる事件名 五光産業事件
争点
事案概要  音楽プロダクションとキャバレーとの間の出演契約に基づきキャバレーで演奏業務に従事していたバンドマンが、懲戒解雇にされたとして、キャバレーを経営する会社に対して、従業員としての地位の確認を求めた事例。(一審 請求棄却、 二審 控訴棄却、請求棄却)
参照法条 労働基準法9条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 演奏楽団員
裁判年月日 1977年1月28日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和49年 (ネ) 1908 
裁判結果 棄却
出典 労働判例269号44頁
審級関係
評釈論文
判決理由  (二)控訴人らは、事実欄第一の一の(二)記載のとおり主張するけれども、(人証略)に前記(原判決二の(二)のうち、原判決一二枚目裏四行目以下において)認定した事実を併せ考えると、バンドマスター会議というのは、今までに本件会社の創立記念日の前とクリスマスの前の二回開いたことがあるにすぎず、本件会社の経営する各店のバンドマスターと呼ばれている人達が集まり、ほかにA、本件会社の社長、B常務、C専務が出席したが、会議の目的は、創立記念日の時は、こんなショーをいれるとか、何日から何日までショーをいれているとか、バンド編成の具合を聞き、本件会社側からも、この時間帯にこんなショーを入れてもらえないか等の打合せ会議であったし、クリスマスの時は午後一一時以後の時間延長について、帰りの交通の点等を考え何名ぐらい残って貰えるか等について打合せの会議をしたもので、常設の本件会社の指示等をする会議ではないこと、また、バンド日報というのは昭和四四年頃作られたもので、演奏時間と演奏人数を確認する目的で作られ、そのほかには、バンドについての本件会社の意見欄、バンドの方からの本件会社に対する意見欄、Dからの本件会社に対する意見欄が白紙でもうけてあるもので、本件会社の専務から右日報によって指示することはないこと、即ち、右日報は店長から確認の意味もあって、時間と人数を書いてDへ廻し、Eにおいてサインしてバンドマスターに廻し、店長を通じて総務へかえってくるという経過で廻されていること、従って、右日報によって本件会社がバンドマスターらに指示命令することはないこと、本件会社はボーイ長らを介し、演奏中、客からのリクエストをバンドに取り次ぐことはあるが、本件会社自体がこれをバンドに指示、命令することはないこと、本件会社は、Dとの間で昭和四四年八月一日締結し、その後年々更新されている出演契約の契約書第五条(《証拠略》)により、演奏マナーの不良なもの、ホステスと男女問題をおこしたバンドマンがでたら当然Dに注意できるし、同第三条によって演奏時間も契約されていること、従って、本件会社としては演奏の決められた時間並びに演奏楽器を指定し、それ以外のことはDにまかせていて、Dに一括報酬を支払うのみであったこと、ただ、本件会社の慰安旅行や新年会にバンドマンを招待したことはあるが、これは被控訴人としては、ビールメーカーとか、出入の商人、或は特別の縁故者をも含めて招待状を出しており、楽団員も招待したにすぎないこと、そして、本件会社は、昭和四二年一一月の新店開店以後は、出入商人、バンドマン又は外来者の出入する地階二階の出入口の保安課で、同人らに対し、外来入店許可証を渡していたことが認められ、(人証略)のうち、右認定に反する供述部分は前顕証拠と比照してにわかに信用できないし、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
 右認定事実によると、本件会社が、控訴人らに対し、指揮命令するような実態にあったとは到底認められないから、控訴人らと本件会社との間に雇用関係の存した前提事実の存する旨の控訴人らの前記主張もこれを採用するに由ない。