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ID番号 00175
事件名 従業員地位確認請求事件
いわゆる事件名 電電公社近畿電通局採用内定取消事件
争点
事案概要  採用を内定した者に対し使用者がなした採用取消につき、右取消は無効であるとして、従業員としての地位の確認を求めた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法623条
体系項目 労働契約(民事) / 採用内定 / 法的性質
労働契約(民事) / 採用内定 / 取消し
裁判年月日 1980年5月30日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (オ) 580 
裁判結果 棄却
出典 民集34巻3号464頁/時報968号114頁/タイムズ417号72頁/訟務月報26巻11号1923頁/労働判例342号16頁/労経速報1051号3頁/裁判所時報790号1頁/裁判集民129号663頁
審級関係 控訴審/00171/大阪高/昭54. 2.27/昭和52年(ネ)770号
評釈論文 後藤清・労働判例343号4頁/山本吉人・労働判例393号24頁/時岡泰・ジュリスト724号73頁/時岡泰・法曹時報34巻2号203頁/松永栄治・法律のひろば33巻9号46頁/渡辺章・ジュリスト739号117頁/毛塚勝利・昭和55年度重要判例解説〔ジュリスト743号〕253頁/林修三・時の法令1080号53頁/萬井隆令・民商法雑誌83巻6号964頁
判決理由  〔労働契約―採用内定―法的性質〕
 被上告人から上告人に交付された本件採用通知には、採用の日、配置先、採用職種及び身分を具体的に明示しており、右採用通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかったと解することができるから、上告人が被上告人からの社員公募に応募したのは、労働契約の申込みであり、これに対する被上告人からの右採用通知は、右申込みに対する承諾であって、これにより、上告人と被上告人との間に、いわゆる採用内定の一態様として、労働契約の効力発生の始期を右採用通知に明示された昭和四五年四月一日とする労働契約が成立したと解するのが相当である。
 〔労働契約―採用内定―取消し〕
 被上告人において本件採用の取消をしたのは、上告人が反戦青年委員会に所属し、その指導的地位にある者の行動として、大阪市公安条例等違反の現行犯として逮捕され、起訴猶予処分を受ける程度の違法行為をしたことが判明したためであって、被上告人において右のような違法行為を積極的に敢行した上告人を見習社員として雇用することは相当でなく、被上告人が上告人を見習社員としての適格性を欠くと判断し、本件採用の取消をしたことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができるから、解約権の行使は有効と解すべきである。