全 情 報

ID番号 00180
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 川崎製鉄事件
争点
事案概要  一年の雇用期間を付した雇用契約を締結した臨時工が期間満了後若干の日数延長された後に解雇通告をうけたのに対し地位保全の仮処分を申請した事例。(棄却)
参照法条 労働基準法14条
体系項目 労働契約(民事) / 試用期間 / 法的性質
裁判年月日 1962年7月20日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (ヨ) 352 
裁判結果
出典 労働民例集13巻4号869頁
審級関係
評釈論文 阿久沢亀夫・季刊労働法48号85頁/宮島尚史・ジュリスト304号97頁/高藤昭・労働経済旬報581号29頁
判決理由  これらの事実よりすれば、債務者会社の臨時工は、臨時の仕事をするために特に雇い入れられたものではなく、本工採用の一過程としての意味をも有しており、本工として採用するに足りる適格を有するか否かを試用工としての性格も兼ねそなえていることは明らかであるが、右一年の期間は債権者が主張するように単なる試用期間を定めたものではなく、債権者において経済情勢の変化に応じ工場の業績、設備等を考慮して人員の調節をはかるため会社経営上の必要から雇傭契約の存続期間を労働基準法第十四条所定の限界内で定めたものというべく、本工の就業規則(乙第六号証)と別個に制定された臨時工の就業規則(乙第四号証、第七号証)とを比較して見ても特に劣悪なる労働条件を臨時工に強いたものでもなく、又期間も一年を限り(尤も採用の日時を揃えるため一か月未満の延長はあるが)之を反覆して更新し臨時工を長く不安定の状態に置く等の点も認められないから債権者と債務者間の本件雇傭契約も一年間の存続期間の定めある雇傭契約であると認めることができ、成立に争いのない甲第四号証の記載ならびに証人A、同Bの証言も右認定を覆えすに足りる証拠ではなく、他に右認定を動かす証拠はない。
 従って、本件雇傭契約の期間は試用期間を定めたものであり適法に解雇されない限り一年の経過とともに当然に本工となることを含めた契約であるとし、あるいは、右期間内に従業員として不適格であると判断されない限り本工に昇格させる趣旨の契約であるとする債権者の主張は理由がない。