全 情 報

ID番号 00191
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 日本電電公社事件
争点
事案概要  反戦青年委員会に所属し、無届デモに参加し起訴猶予となったこと等を理由に採用内定を取消された電電公社見習社員が、右取消しは思想、信条を理由として無効であるとして採用内定取消の意思表示の停止を求めた仮処分申請事件。(申請認容)
参照法条 日本国憲法14条
労働基準法3条
民法90条
体系項目 労働契約(民事) / 試用期間 / 本採用拒否・解雇
裁判年月日 1971年8月16日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ヨ) 998 
裁判結果 (控訴)
出典 時報643号9頁/タイムズ266号143頁/訟務月報17巻11号1702頁
審級関係 控訴審/00166/大阪高/昭48.10.29/昭和46年(ネ)1122号
評釈論文 凪崎二郎・季刊労働法82号100頁/正田彬・判例評論154号14頁/萩野芳夫・季刊教育法3号131頁/八田英之・法学36巻1号84頁
判決理由  ところで憲法一四条によると、国民は信条によって社会的関係において差別されないものと規定され、また労働基準法三条によると、使用者は労働者の信条を理由として労働条件について差別してはならないものと規定され右条件には解約をも含むものと解すべきであるところから、公社が申請人について反戦青年委員会への加入を理由に申請人との間の見習社員契約を解約したものであるとすれば、右は憲法一四条、労働基準法三条に基づく公序に違反するもので民法九〇条によって無効というべきである。
 してみると、これを以て公社が申請人について前記解約事由の一つである公社の職員とするにふさわしくない事由のある場合に当るとしたことはその評価を誤ったものといわなければならない。
 (中 略)
 以上のとおり、すでに認定した事実を以てしては申請人を公社の職員として不適格であるものと認めることはできないので、右事実に基づく本件採用取消、即ち見習社員契約の解約は、就業規則所定の解約(免職)事由に該当しないにもかかわらずなされたものにほかならないから、右は結局右規則の適用を誤ったもので無効というべきである。