全 情 報

ID番号 00284
事件名 雇用関係存続確認請求事件
いわゆる事件名 日本コロムビア事件
争点
事案概要  配転命令に応じなかった労働者が、就業規則に基づいて懲戒解雇されたので、雇用契約に基づく権利を有することの確認と賃金の支払を請求した事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法2章,89条1項9号
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
裁判年月日 1975年5月7日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (ワ) 1058 
裁判結果 棄却
出典 労働判例228号53頁
審級関係
評釈論文
判決理由  一般に、労働者は雇用契約において使用者に対し、労務の提供を包括的に約するのが通常であるから、使用者は、労働者と個別的に勤務場所、職種等を限定する特別の合意をしない限り、雇用契約の趣旨の範囲内において労働者に対し、勤務場所、職種等を具体的、個別的に決定して労務の提供を命ずることができ、労働者はその命令に従って労務を提供すべき雇用契約上の義務がある。
 (中 略)
 求人申込票の職種(従事する仕事)欄には「テレビ(殊にカラーテレビ)製造関連業務」と就業場所(勤務地)欄には「川崎工場」との記載があることが認められる。しかし、前段で説示したところと求人申込票の性質を考慮すれば、右記載は雇用当初における予定の職種、勤務場所を一応示すにとどまるものであって、将来とも職種、勤務場所を右記載のとおり限定する趣旨のものとみることは困難である。したがって、右記載のみをもって、原告が職種、勤務場所を右記載のとおり限定されて被告に雇用されたものと認めることはできないし、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。そうすると、本件配転命令が雇用契約に違反する無効なものであるということはできない。
 (中 略)
 右認定した事実によれば、本件配転命令は前記三電機営業所の減員補充という被告の業務上の必要に基づくものであり、営業技術課要員の人選基準(基本的基準と具体的基準の両者を含む。)の内容に特に不合理なところはないし、原告は右人選基準の要件を満たしていたものということができる。