全 情 報

ID番号 00341
事件名 雇用関係存続確認等請求事件
いわゆる事件名 杤木合同輸送事件
争点
事案概要  使用者がユニオンショップ協定に基づき、別組合に加入した従業員を解雇したことにつき、右解雇は無効であるとして、労働契約上の地位にあることの確認を求めた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法1条3項,625条1項
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 出向中の労働関係
解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇
裁判年月日 1981年12月25日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ワ) 2002 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 労働民例集32巻6号997頁/時報1046号134頁/労経速報1109号6頁/労働判例380号43頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔配転・出向・転籍・派遣―出向中の労働関係〕
 原告XはA会社との間では原告Xを労働者、A会社を使用者とする労働契約締結の当事者としての関係(基本的在籍関係)、被告との間では原告Xを出向労働者、被告を右出向労働者に対し労務指揮をし賃金支払をする者とする出向労働における指揮従属の関係(出向労働関係)が複合的に成立し、右出向労働関係は基本的在籍関係を前提として成立する関係にあったとみるのが相当である。
 〔解雇―ユニオンショップ協定と解雇〕
 脱退者が他の労働組合に加入した場合にもユ・シ協定は追及して適用されるか否かにつき判断するにユ・シ協定は、労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に、使用者をして当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化をはかろうとする制度であるから、ユ・シ協定締結組合に所属する労働者の団結権を維持強化する役割を果たしている点において、労働者の団結権を保障している憲法二八条の趣旨に沿うものというべきである。そしてこのようにユ・シ協定の効力を承認する限り、ユ・シ協定締結組合から故なく脱退した組合員に対しては、脱退後の行動如何に拘わらず規定上は脱退自体を要件としてユ・シ協定の効力が及ぶと解さなければならないのであるが、脱退後直ちに他の労働組合に加入した者に対しては、その余の脱退者と特に区別し、〔1〕脱退者が締結組合から脱退して直ちに他の労働組合に加入することは結局自己の加入すべき労働組合を選択した結果に外ならず、右選択権は団結権の範囲内にあると解されること、〔2〕脱退後直ちに他の労働組合に加入した者は帰属労働組合の変動を生じたに過ぎず組織帰属性は失われていないこと、〔3〕ユ・シ協定による解雇を認めると、締結組合に優越的地位を認める結果となり、複数組合併存下においてはかかる不平等は容認できないこと等の理由から、脱退後直ちに他の労働組合に加入した者に対してユ・シ協定を適用しこれを根拠に解雇するのは相当でないと一般に観念されており、それは現在においては社会通念にまでなっているというべきである。かかる事情を斟酌して判断すると、参加人組合から脱退後直ちに全港湾名古屋支部に加入した右原告らに対し本件ユ・シ協定を適用し解雇をもって臨むことは、著しく妥当を欠き社会通念上是認できない措置であるといわねばならない。