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ID番号 00522
事件名 免職処分審査請求に対する判定処分取消請求事件
いわゆる事件名 北海道中標津町事件
争点
事案概要  政治的思想的教育方針を理由とする教員の免職処分につき、三〇日前の解雇予告がなされていないが、辞職勧告理由等の事実により実質的に予告があったといえるか否かが争点となった事例。(肯定)
参照法条 労働基準法20条
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告 / 解雇予告の方法
裁判年月日 1957年2月27日
裁判所名 釧路地
裁判形式 判決
事件番号 昭和29年 (行) 5 
昭和29年 (行) 6 
裁判結果 (控訴)
出典 行裁例集8巻2号305頁/タイムズ70号90頁/労経速報238号5頁
審級関係 控訴審/札幌高/昭43. 3.27/昭和32年(ネ)89号
評釈論文
判決理由  第二、前顕乙第八号証(Aの供述録取部分)、証人Aの証言により成立を認める乙第十四号証の一、二に証人B、A、C、Dの各証言及び原告両名に対する各本人尋問の結果を合せ考えると、事件後の前後策を話合うため、同年二十三日学校側、原処分者側、中標津町役場及び道教職員組合側の各関係者が会して行ったいわゆる四者会談において、原処分者から同年七月末日までに辞職するよう勧告を受けたのに対し、原告等は終始これを拒否したが、校長より、同人の責任において遅くも同年八月十五日迄に原告等をして退職させ、その上で自らも退職する、右が事実不可能なときは、原処分者の処分に委ねる旨申出があり、同人名義の退職願(乙第十四号証の一)及び誓約書(同号証の二)を原処分者に差入れたこと、原告等は校長の右申出に反対しつつも、終始同席し又別室で校長と協議するなど、この間の事情を知悉していたこと及び右四者会談以前にも原告等は事件後しばしば教員としての不適格性を理由に原処分者から辞職勧告をうけていたことをそれぞれ認めることができるが被告において主張する、原処分者が四者合談において、原告等に辞職勧告と同時に免職処分の予告をした事実ないし、原告等自身が校長を通じて原処分者に退職を申出た事実は、いずれも認めるに足る証拠がない。しかし、右認定のような場合、原告等としては、辞職勧告理由の性質、校長の四者会談での前記申出の内容その他前後の事情から、同人らが前記八月十五日まで退職しないときは、当然免職処分に付されるであろうことを予見できたものというべく、正式に解雇予告がなされた場合と実質上同様に考えることができるから、前記六月二十三日から三十日の経過後に原告等を免職処分に付するのに改めて予告をする必要は必ずしもないと解するのが相当である。又、実質上予告があったと同様に考え得る以上、労働基準法第二十条所定の解雇予告除外事由の認定手続を必要としないことはいうまでもない。従って、本件免職処分にはこの点における違法はない。