全 情 報

ID番号 00537
事件名 健康保険傷病手当金等請求事件
いわゆる事件名 壹光堂事件
争点
事案概要  原告が休業中に会社が倒産したところ、右休業は業務災害に基づくものとして原告が会社に対し地位確認と賃金及び慰藉料の支払、国に対し労災保険法による休業補償給付、健康保険被保険者資格の確認、慰藉料の支払を求めた事例(一部認容)。
参照法条 労働基準法20条
体系項目 解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力
裁判年月日 1985年9月4日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (行ウ) 23 
裁判結果 一部却下 一部棄却(確定)
出典 時報1176号79頁/労働判例460号52頁/労経速報1246号3頁
審級関係
評釈論文 井上英夫・社会保障判例百選<第2版>〔別冊ジュリスト113〕24~25頁1991年10月/鎌田耕一・社会保障判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト153〕22~23頁2000年3月/倉田聡・賃金と社会保障1029号44~50頁1990年3月10日
判決理由  1 しかしながら、前記二23で認定の事実によれば、被告会社は原告に対し、昭和五五年五月一日ころにはその営業所を閉鎖して営業活動を廃止することによって、原告との雇用関係を一方的に終了させること、即ち、解雇の意思を黙示的に表示したものと認めるのが相当である。もっとも、原告はその時点では被告会社が不渡り手形を出して倒産し、他の従業員が皆退職してしまったことなどは知る由もなかったのであるから、被告会社に赴くなどして営業所が閉鎖されていることを現認したとしても、当初は何らかの事情による一時的な営業中止で近日中に再開されるのであろうと考えていたことも充分ありうるから、そのころ直ちに被告会社の右意思表示が原告に到達したと解するのは相当ではないが、前記のようにその後も営業所が閉鎖されていることを原告自身確認し、社会保険事務所からも会社が廃止されたとの通知を受けて被告会社による解雇の当否について考えるに至ったことからすると、遅くとも昭和五五年六月一二日社会保険事務所長へ前記書面を送付した時点では原告も被告会社の事実行為による黙示的な解雇の意思表示の意味内容を了知したものと認めるべく、右の時点で右意思表示が原告に到達したものと解すべきである。
 ただ、被告会社の解雇は、結局労基法二〇条所定の予告期間を置かず、また、予告手当の支払もしなかったものであるから、昭和五五年六月一二日に直ちに解雇の効力が発生したものと解することはできないが、右の日の三〇日後の同年七月一二日の経過によってその効力が発生したものというべきである。