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ID番号 00550
事件名 解雇手当請求上告事件
いわゆる事件名 芳野金属事件
争点
事案概要  解雇手当請求事件について、東京地方裁判所が昭和三十年九月十日言渡した判決に対し、上告人から全部破毀を求める旨の上告の申立日に雇用により一ケ月を超えて使用されるに至った者が解雇予告手当を請求したのに対し、これを認容し、労働基準法二〇条但書の除外事由の趣旨について判断した事例。
参照法条 労働基準法21条
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 天災事変
解雇(民事) / 解雇予告と短期契約
裁判年月日 1956年2月10日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和31年 (ツ) 2 
裁判結果
出典 高裁民集9巻1号13頁/労働民例集7巻2号409頁/時報76号25頁/東高民時報7巻2号19頁/タイムズ56号73頁/法曹新聞106号12頁
審級関係
評釈論文 民商法雑誌37巻5号150頁/労働経済旬報303号12頁
判決理由  〔解雇―解雇予告と除外認定―天災事変〕
 労働基準法第二一条但書及び同条第一号でいう「日日雇い入れられる者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合」とは、右文意に照らすも、また同規定が、日日雇い入れられる労働者とはいえ、事実上月余にわたり継続して雇傭されている場合、解雇により突如生活上の脅威に曝されることを防止しようとすることを趣旨とするものである点にかんがみるも、日日労働契約を更新する労働者が継続して一箇月を超えて使用されるに至ったという客観的事実がある場合を指すのであって、その使用者と労働者との間に契約の更新を継続する明示又は黙示の合意があったと否とを問わないものと解するのが相当である。
 〔解雇―解雇予告と短期契約〕
 労働基準法第二〇条但書でいう「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」とは、天災事変その他労働者を解雇するにつき、使用者に三十日前の予告をするか又は三十日分以上の平均賃金を支払わせることが、同法全般の趣旨と社会通念とに照らし、いかにも不合理とみられるような事由のために事業の継続が不可能となった場合を指すのであって、単に経済界一般の不況のために使用者が事業に失敗するに至ったというが如き場合までも包含する趣旨ではない。右と異る見解に立脚する本論旨もまた採用できない。