全 情 報

ID番号 00553
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 臨港病院事件
争点
事案概要  勤務態度、投薬・注射のまちがい、その他を理由として解雇された原告が、地位保全の仮処分等を求めた事例。(申請却下)
参照法条 労働基準法20条
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力
裁判年月日 1965年11月1日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和40年 (ヨ) 271 
裁判結果
出典 労働民例集16巻6号895頁
審級関係
評釈論文 松田保彦・ジュリスト387号119頁
判決理由 〔解雇―解雇事由―職務能力・技量〕
 しかしそれらを除いた前記認定の申請人の勤務態度、投薬の間違、注射の間違、その他の言動を綜合すれば、申請人の看護婦としての適格性が疑われ、職場の秩序規律を乱すもので、前記乙第二号証により認められる解雇の理由としての就業規則第三六条、第2号やむを得ない業務の都合によるとき、第3号その他前二号に準ずるやむを得ない事由のあるときとの規定の、第2号に準ずる第3号に該当するものと認められ、よって被申請人協会の本件解雇の意思表示は正当な理由に基づいてなされたものと認められる。
〔解雇―労基法二〇条違反の解雇の効力〕
 解雇予告手当は新たに就職するまでの間の労働者の生活を保障するためのものであるから、条件その他の負担を附けることは許されないものと解する。前記認定の事実によれば、同年二月二〇日、及び二三日に被申請人協会が申請人になした解雇予告手当の受領催告は、いずれも申請人が看護婦寮から退寮することが条件となっており、従って本旨に基づく提供とは言えないので、解雇予告手当の提供があったものとは認められず解雇の効力は生じない。しかし、解雇の意思表示をなす際解雇予告手当の支払がなされなかったとしても、後に解雇予告手当の支払がなされればそのときに解雇の効力が生じるものと解するところ(最高裁昭和三五年三月一一日判決民集第一四巻第三号等参照)前記認定事実によれば、被申請人協会は同年三月三日申請人に対し金二九、九〇〇円の解雇予告手当を呈示し受領を求めたのであるから、本件解雇はそのときに効力が生じたものと解する。