全 情 報

ID番号 00558
事件名 解雇予告手当等請求事件
いわゆる事件名 江東ダイハツ自動車事件
争点
事案概要  解雇の意思表示を受けた従業員が(1)解雇予告手当金(2)これと同一額の附加金(3)慰藉料および(1)(2)(3)についての遅延損害金の支払を請求した事例。(請求一部認容)
参照法条 労働基準法20条,114条
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告手当 / 解雇予告手当請求権
雑則(民事) / 附加金
裁判年月日 1973年1月29日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (ワ) 5481 
裁判結果 一部認容
出典 労働民例集25巻3号231頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔解雇―解雇予告手当―解雇予告手当請求権〕
 成立に争いのない甲第一号証の一ないし三は、被告が原告に当てて出した昭和四七年三月一三日付郵便であるが、それには、「当社の経営上の事で種々協議の結果、貴殿の仕事の分野は、整備の事務関係で処理する事と相成りましたので、貴殿の仕事もなくなりましたので、残念ながら退職していただき度く、又早急では御困りの様子でしたら、今月一杯又は四月にかけてで結構ですから、新就職口を早急に見つけられ度く申しそへます。」との記載がある。
 右文面は、その措辞が不明確であって、これのみでは、それが被告の原告に対する解雇の意思表示であるとも、任意退職の勧告にすぎないとも解され得る。
 しかし、原告本人および被告代表者の各供述によれば、その後、原告および被告代表者は昭和四七年四月六日に被告会社で合ったこと、その際、右両名は、原告がすでに解雇されていることを当然の前提として予告手当金の支払についてやり取りをしたことが認められる。
 そうだとすれば、右文面は、被告の原告に対する解雇の意思を表示したものであると解するのが相当である。
 原告において解雇の効力が即時に発生したことを容認して予告手当金の支払を求めるからには、被告はその支払義務を免れ得ない。
 〔雑則―附加金〕
 以上によれば、被告は、原告に対し、労働基準法第二〇条に定める予告手当金五万五、七七〇円およびこれに対する昭和四七年五月二六日(本件支払命令送達の翌日)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があり、被告に対しては、同法第一一四条により右予告手当金と同一額の附加金五万五、七七〇円の支払を命ずるのが相当である。しかし、附加金の支払義務は、その支払を命ずる判決の確定によって初めて発生するものであるから、これに対する遅延損害金は、判決確定前に発生する余地はなく、判決確定後に発生す遅延損害金については、あらかじめその請求をする必要があるものとは認められない。