全 情 報

ID番号 00665
事件名 仮処分控訴事件
いわゆる事件名 コクヨ事件
争点
事案概要  ユニオンショップ協定に基づき解雇された原告が、就業規則中解雇事由が定められている条項にはユニオンショップ協定に該当する解雇事由は定められていない等として解雇の無効を主張した仮処分事件。(一審 認容、二審 原判決取消差戻)
参照法条 労働基準法89条
体系項目 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇
就業規則(民事) / 就業規則の届出
就業規則(民事) / 就業規則の周知
裁判年月日 1966年1月20日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ネ) 846 
裁判結果
出典 労働民例集17巻1号27頁
審級関係 一審/00664/大阪地/昭39. 6.26/昭和38年(ヨ)723号
評釈論文 川口実・法学研究〔慶応大学〕40巻2号109頁
判決理由  〔就業規則―就業規則の届出、就業規則の周知〕
 労働基準法第八九条には、使用者が就業規則を作成しまたはこれを変更した場合には当該行政官庁に届け出るべき旨が規定せられているけれども、右届出手続の履践は作成または変更にかかる就業規則の効力発生要件をなすものではなく、使用者においてその事業場の多数の労働者に共通な就業に関する規則を定めこれを就業規則として表示し従業員一般をしてその存在および内容を周知せしめ得るに足る相当な方法を講じた時は、その時において就業規則として妥当し関係当事者を一般的に拘束する効力を生ずるに至るものと解せられるところ、叙上認定の事実からすれば、本件解雇基準を定めた現行規定の部分は遅くとも昭和三七年二月末頃までには就業規則としての効力をもって実施せられていたものと認められる。
 〔解雇―資格免許の未取得〕
 のみならず、ユニオンショップ協定ー-従って、それに基く解雇基準の設定ーーは、労働組合対使用者という集団的な関係の中において、どちらかといえば組合の組織維持のために結ばれるものであって、本来使用者がその事業経営上だけの立場から一方的に定める就業規則とはおのずから定立の面を異にする。この意味で両者は直接には相関連するところがなく、いわばユニオンショップ条項は就業規則の規定の枠外で認められる問題であるから、ユニオンショップに基く解雇が就業規則に定められていない場合においても、就業規則の面でこれを制限したものとみるべきではあるまい。