全 情 報

ID番号 00669
事件名 雇用関係存在確認請求事件
いわゆる事件名 日本食塩事件
争点
事案概要  労働組合から離籍処分を受けた労働者が、労働協約のユニオンショップ条項に基づいて解雇されたので、雇用関係の存在確認と賃金支払を請求した事例。(本件破棄差戻)
参照法条 民法1条3項,627条
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇権の濫用
解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇
裁判年月日 1975年4月25日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (オ) 499 
裁判結果 破棄差戻
出典 時報774号3頁
審級関係 控訴審/00666/東京高/昭43. 2.23/昭和42年(ネ)551号
評釈論文 SHE・時の法令903号54頁/越山安久・法曹時報30巻4号628頁/窪田隼人・民商法雑誌77巻1号121頁/高梨昇三・法律のひろば28巻9号43頁/山口浩一郎・判例タイムズ324号12号/小西国友・ジュリスト595号47頁/清水一行・昭和50年度重要判例解説〔ジュリスト615号〕176頁/清水一行・労働法の判例〔ジュリスト増刊〕131頁/楢崎二郎・判例評論198号31頁/木内隆司・労働判例百選<第四版>〔別冊ジュリスト72号〕160頁
判決理由  使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。ところで、ユニオン・ショップ協定は、労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に、使用者をして当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化をはかろうとする制度であり、このような制度としての正当な機能を果たすものと認められるかぎりにおいてのみその効力を承認することができるものであるから、ユニオン・ショップ協定に基づき使用者が労働組合に対し解雇義務を負うのは、当該労働者が正当な理由がないのに労働組合に加入しないために組合員たる資格を取得せず又は労働組合から有効に脱退し若しくは除名されて組合員たる資格を喪失した場合に限定され、除名が無効な場合には、使用者は解雇義務を負わないものと解すべきである。そして、労働組合から除名された労働者に対しユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として使用者が行う解雇は、ユニオン・ショップ協定によって使用者に解雇義務が発生している場合にかぎり、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当なものとして是認することができるのであり、右除名が無効な場合には、前記のように使用者に解雇義務が生じないから、かかる場合には、客観的に合理的な理由を欠き社会的に相当なものとして是認することはできず、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がないかぎり、解雇権の濫用として無効であるといわなければならない。