全 情 報

ID番号 00729
事件名 労働契約関係存在確認請求事件
いわゆる事件名 製鉄化学事件
争点
事案概要  帰省休暇の詐取、病欠詐称等を理由として解雇された原告が労働契約関係存在の確認を求めた事例 (一審 認容、控訴認容)
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 1966年6月24日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ネ) 238 
裁判結果
出典 労経速報572号7頁
審級関係
評釈論文
判決理由  被控訴人は昭和三四年一〇月九日から一二日まで三日間(日曜を除く故)台風による家庭の被害の実情調査のため静岡にある実家に帰省する旨願い出て休暇をとりながら帰省せず、
 (中 略)
 被控訴人は昭和三五年一一月一二日から二一日まで一〇日間急性胃腸カタルのため休むと届出て欠勤しながらその間殆んど下宿先に在宅せず、一一月一五日には高砂市記念会館で催されたA講演会、一二日には同会館で行なわれた映画鑑賞会の世話役として活動するなどして過ごした。
 (中 略)
 被控訴人は昭和三五年夏頃からは、資材課に配属されて勤務していたのであるが、遅参欠勤が次第に頻繁となり、しかも欠勤の殆どが予告なしの事後的な届出であり、遅参も寝過し程度のものではなく、三〇分から二時間を超えるものが多く、その上遅参して仕事が渋滞していれば普通の者ならば残業をするところであるのに定時退社をしてはばからぬなど、出勤状況は極めて不良で比類がなく、直属上司であるB資材課長は何回となく、人事担当者からも四、五回に及んで注意したが、被控訴人はこれを無視してあらためようとはしなかった。次いで、昭和三六年五月一一日被控訴人は病気により欠勤する旨の電話連絡して欠勤していたが当日偶々人事課長が社用で出張の途次明石駅で被控訴人を目撃し、更に同月一五日被控訴人は肝炎の疑いで一週間休養を要するとの診断書を添えて欠勤届を提出し、その際は二日間休んだだけであったが、不審に思った控訴会社人事課が右診断書を作成した医師に問合わせると、「一六日夕方に本人が訪ねて来て肝炎の疑いで一五日付で診断書を書いて呉れと頼むので書いた」ということが判明した。
 (中 略)
 被控訴人は翌六月二日再び帰省休暇申請の手段に訴え、翌三日から三日間の休暇をとるや、帰省はしないで、三日は上京して政暴法紛砕兵庫県代表団の一員として三宅坂に集合し、常に大旗を掲げ持ち民主青年同盟兵庫県代表団のリーダーをつとめてデモを行ない、次いで四、五、六の三日間はその間に亘って行なわれた右同盟全国大会に出席したと推認される。
 (中 略)
 五、前記二及び三に認定した事実によれば、当裁判所は被控訴人は成立に争いのない乙第一号証(就業規則)第七五条第一号、第七六条第四号、第七七条第四号に該当する者であり、控訴会社において被控訴人を同就業規則第四三条第一項第二号に則り解雇するにつき、その事由を充分に具備していたものと判断する。