全 情 報

ID番号 00924
事件名 地位保全、金員支払仮処分申請事件
いわゆる事件名 ツルガ生コンクリート工業事件
争点
事案概要  生コンクリート工業組合の構造改善事業の実施に伴い閉鎖された企業の従業員らが、右閉鎖企業のシェアを承継した企業から賃金の保障を受けつつ右とは別の企業への転籍後自宅待機していたが、右別企業と右従業員らの所属しない組合との協約に基づく就労命令を受け、これを拒否したため解雇されたのに対し、シェア承継企業での地位保全等求めた仮処分申請の事例。(一部認容)
参照法条 労働基準法12条,24条
民法624条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 休職処分・自宅待機と賃金請求権
裁判年月日 1984年12月6日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和59年 (ヨ) 113 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例445号38頁/労経速報1211号24頁
審級関係
評釈論文
判決理由  A労働組合生コン支部は昭和五八年一〇月ころ分裂し、右支部とは別個にB労働組合を結成し、同年一一月一日C労働組合が団体交渉をした結果、同年二月一七日D会社からC会社に移籍した申請人らを含む六名について同年一一月七日からC会社のミキサー運転手として就労することの確認の協定がなされ、E株式会社(代表者はC会社の代表者と同じ)は同月二日付で申請人らに対し、同月七日午前八時に出社するよう就労通知を発したこと、申請人らは自己が運輸一般の組合員でありB労働組合員でなく、したがって、同労働組合の協定に拘束されないことを通知するとともに就労しなかった。
 (中 略)
 被申請人は、廃棄企業であるD会社のシェアを引き継ぐことにより、工業組合に対し、D会社の従業員であった者で希望退職をしないで自宅待機扱いとなった者の平均賃金額に相当する源資の金員を負担することとなり、その後昭和五八年三月からはその金員を申請人らに対し直接支払うようになったというべきである。
 そして、被申請人は、その源資の負担を免れるためと労働者の再就職先を求める目的で、C会社に申請人らの転籍先を得ようとしたのであるが、労働組合の分裂ともいうべき予期せざる事態が発生したものの、申請人らの責に帰すべき事由によらないで就労に至っていないのであるから、被申請人は申請人らに対し、その平均賃金に相当する金員を支払うべき義務がある。