| ID番号 | : | 00963 |
| 事件名 | : | 仮処分申請事件 |
| いわゆる事件名 | : | 庄原市(学校給食調理員)事件 |
| 争点 | : | |
| 事案概要 | : | 学校給食婦に対する期末勤勉手当を誤算して過払いした場合、後の賃金から右過払分を控除することが労働基準法二四条に違反するか否かが争われた事例。(肯定) |
| 参照法条 | : | 労働基準法24条1項 |
| 体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整 |
| 裁判年月日 | : | 1964年5月6日 |
| 裁判所名 | : | 広島地 |
| 裁判形式 | : | 判決 |
| 事件番号 | : | 昭和39年 (ヨ) 94 |
| 裁判結果 | : | 認容 |
| 出典 | : | 時報387号47頁 |
| 審級関係 | : | |
| 評釈論文 | : | |
| 判決理由 | : | 労働基準法第二四条第一項によれば、賃金は、原則としてその全額を支払わなければならず、ただ、法令若しくは労働協約等に別段の定めのある場合にのみ、賃金の一部を控除して支払うことが許されているに過ぎない。右の規定は、労働者の生活保障のため、賃金の現実の履行を確保することを目的としているものであるから、労働者に対する損害賠償債権を自働債権として賃金債権との相殺をなし得ないものであることは、既に判例(最高裁、昭和三六、五、三一、大法廷判決)の示すところであるが、右の規定は、労働者に対する不当利得返還請求権を自働債権として賃金債権と相殺をなすことをも原則として禁止したものと解するを相当する。従って、法令若しくは労働協約等に基づき特段の事情の認められない本件では、債務者の前記控除は労働基準法第二四条第一項の規定に違反し、許されないものといわねばならない。 |