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ID番号 00964
事件名 給料支払請求事件及び反訴請求事件
いわゆる事件名 武蔵野赤十字病院事件
争点
事案概要  ストライキによる賃金控除をすべきところを過払いとしたため、翌月分の賃金から控除したことが労働基準法二四条違反にあたるとして支払請求がなされた事例。(肯定)
参照法条 労働基準法24条1項
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整
裁判年月日 1964年10月20日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (ワ) 185 
昭和36年 (ワ) 4681 
裁判結果 認容(控訴)
出典 労働民例集15巻5号1125頁/時報394号59頁/タイムズ169号204頁
審級関係 控訴審/00971/東京高/昭42. 3.16/昭和39年(ネ)2596号
評釈論文 窪田隼人・新版労働判例百選〔別冊ジュリスト13号〕84頁/渡辺章・ジュリスト357号100頁/平野毅・労働経済旬報618号16頁
判決理由  賃金控除の原因が使用者のやむを得ない事由によって生じた賃金の過払によるものであり、控除の方法が賃金の過払を生じた賃金期間に接続する賃金期間の賃金からの控除であり、且つ、事前に控除を労働者に予告したとしても、その賃金控除は、なお、労働者の当該賃金期間の生活に不安を与えるものとして、労働基準法第二四条第一項本文の規定に違反するものというべく、このことは、使用者が、賃金支払日の直前に弁済期の到来する不法行為による損害賠償請求権その他過払賃金返還以外の債権に基づく弁済金を労働者に予告した上で、賃金支払日に賃金から控除する場合となんら異らない。そうであるならば、本件賃金控除の原因であった原告らの昭和三五年一〇月分の賃金の一部過払がやむを得ない事由とみられる賃金の前払及び賃金計算を事実上不可能とした本件争議による混乱状態に基因し、右過払賃金分をその直後の翌一一月の賃金から控除し、控除について被告主張のような事前の予告をしたとしても、前記法令の定又は協定のない限り、本件賃金控除は、労働基準法第二四条第一項本文の規定に違反し、許されないものといわなければならない。被告の右主張は失当である。