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ID番号 00977
事件名 給与減額分支払請求事件
いわゆる事件名 群馬県教職員事件
争点
事案概要  一〇月二八日から一一月一〇日の間の一定時間、いわゆる勤評反対闘争参加のため無断欠勤した公立学校の教職員らが、一〇、一二月両月につき生じた過払給与を翌年三月分給与から控除されたのに対し、右控除は労働基準法二四条一項に違反し無効であるとして控除分の支払を求めた事例。(上告棄却、労働者勝訴)
参照法条 労働基準法24条1項
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整
裁判年月日 1970年10月30日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (行ツ) 61 
裁判結果 棄却
出典 民集24巻11号1693頁/時報613号89頁/タイムズ255号162頁/教職員人事関係裁判例集6号287頁/金融商事243号12頁/裁判集民101号321頁
審級関係 控訴審/04326/東京高/昭42. 3. 1/昭和36年(ネ)814号
評釈論文 伊藤博之・教育委員会月報247号103頁/山本吉人・昭45重判解説191頁/菅野和夫・色川,石川編・最高裁労働判例批評〔2〕民事編398頁/浅井清信・民商法雑誌65巻3号452頁/富沢達・法曹時報23巻3号214頁
判決理由  原判決が適法に確定したところによれば、本件係争給与の支払当時においては、被上告人らの給与は、毎月二一日に一二月は五日に、またその日が休日に当たるときはその前日に、その月分を支払うべきこととなっていたところ、上告人が被上告人らに対し、昭和三三年一〇月分および一二月分として支払った給与には、被上告人らが第一審判決別表(ニ)欄記載のとおり同年一〇月二八日から同年一二月一〇日までの間の一定時間勤務しなかったことにより支払うべからざる右別表(ハ)欄記載の各金額をも含んでいたので、上告人は、その後、これを昭和三四年三月二〇日に支払うべき同月分の給与から減額した、というのである。
 (中 略)
 本件についてこれを見るに、過払、減額の時期、金額は前記のとおりであり、また、原判決が適法に確定したところによれば、本件減額措置が前記のように遅れたのは、給与過払の原因となった被上告人らの無断欠勤が、群馬県教職員組合の勤務評定反対闘争という異常な事態のもとに行なわれ、欠勤した者の範囲も広範かつ多数におよんだため、減額について明らかにすべき事項の調査が困難であったことにもよるけれども、その主たる原因は、むしろその事務を担当していた群馬県教育委員会事務局が、減額自体をなすか否かあるいはその法律上の可否、根拠等の調査研究等に相当の日時を費し、あるいは他の所管事務の処理に忙殺されていた点にあった、というのである。
 上述の事実関係に徴し、前記説示するところからすれば、上告人のした本件相殺は、未だ例外的に許容される場合に該当するものとは認め難い。