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ID番号 01171
事件名 未払賃金等請求控訴事件
いわゆる事件名 壼阪観光事件
争点
事案概要  賃金として一律支給の家族手当、通勤手当、一定総水揚高を超えた場合の一律の特別報奨金の支払を受けていた運転手らが、会社が右手当等を割増賃金の算定基礎額に含めないのは労基法三七条に違反するとして、未払割増賃金と附加金の支払を求めた事件の控訴審。(控訴一部認容、労働者一部敗訴)
参照法条 労働基準法37条,114条,115条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 賃金請求権と時効
雑則(民事) / 附加金
裁判年月日 1983年5月27日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ネ) 1354 
裁判結果 一部取消 一部棄却 一部変更
出典 労経速報1155号3頁/労働判例413号46頁
審級関係
評釈論文
判決理由  〔賃金―賃金の支払い原則―賃金請求権と時効〕
 組合執行委員長A名義の控訴人あて昭和五三年一〇月二五日付要求書の提出によって、同日被控訴人らの控訴人に対する本件未払割増賃金の支払催告があったものと認めるのが相当というべきところ、右催告後六か月以内に本訴請求がなされていることは本件記録上明らかであるから、右催告のなされた昭和五三年一〇月二五日の時点において本件未払割増賃金請求権についての消滅時効は中断しているものというべきである。
 そうすると、右催告の時点から二年さかのぼって昭和五一年一〇月二五日以降に弁済期の到来する同年同月分以降の未払割増賃金請求権についてはいまだ時効消滅しておらず、控訴人はその支払義務を免れることはできないものというべきである。
 〔雑則―附加金〕
 ところで、法一一四条の附加金支払義務の発生時期に関しては、附加金の法的性質とも関連して諸説があり、議論の存するところであるが、同法条の附加金制度は、要するところ同法条所定の未払金の支払を確保しようとするものと解すべきであるから、同法条の附加金の支払義務は、使用者が右未払金を支払わない場合に当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所がその支払を命ずることによってはじめて発生するものと解すべきである。従って使用者に法三七条の違反があっても、附加金の支払を命ずる判決があるまでに未払金の支払を完了し、その義務違反の状況が消滅したときには、
 もはや、裁判所は附加金の支払を命ずることができなくなるものと解するのが相当というべきである(最高裁判所昭和三五年三月一一日判決・民集一四巻三号四〇三頁、同昭和五一年七月九日判決・裁判集民事一一八号二四九頁参照)。
 そうすると、控訴人は被控訴人らに対し、本訴提起後ではあるにせよ、原裁判所がその支払を命ずるまでに前記のようにすでに昭和五二年五月から同五三年八月までの未払割増賃金の支払を完了しているのであるから、控訴人の法三七条違反の状態はすでに消滅したものというべく、従って裁判所は、被控訴人らが附加金の支払が命ぜらるべき事由として主張する諸事情とはかかわりなく、もはや右未払割増賃金に対する附加金の支払を命ずることはできないものというべきである。