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ID番号 01276
事件名 損害賠償等請求事件
いわゆる事件名 横浜市事件
争点
事案概要  市が管理職手当の支給を受けている局長らに対し特殊勤務手当を支給したことにつき、住民が、右支給行為は条例に違反し無効である等として、右局長らに対し市に代位して右手当の返還等を求めた事例。(請求認容)
参照法条 労働基準法37条
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 管理監督者
裁判年月日 1983年6月29日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (行ウ) 31 
裁判結果 認容(控訴)
出典 行裁例集34巻6号1116頁/時報1087号61頁/労働判例420号74頁/判例地方自治2号2頁
審級関係 控訴審/東京高/昭59.12.24/昭和58年(行コ)63号
評釈論文
判決理由  そこで、被告らに対し、管理職手当のほかに、深夜に及ぶ超過勤務を理由として特殊勤務手当を支給することができるか否かについて検討する。横浜市における管理職手当とは、本件給与条例一八条の二第一項によれば、「管理または監督の地位にある職員に対しては、その職の特殊性に基き」支給されるところ、右手当の趣旨は、職務内容の特殊性(部下職員を指揮監督することにより担当業務の運営、管理を行う等の職務に困難性及び高度の責任が伴うこと)及び勤務形態の特殊性(しばしば正規の勤務時間外に勤務することがあり、その実績を時間で計測することが不適当であること)に着目して支給される手当であると解されること。
 横浜市においては、管理職手当を支給される者は、管理職手当規則四条所定の者を除き、超過勤務手当(深夜勤務割増手当を含む。)、休日給、夜勤手当を一切支給されない(本件給与条例一八条の二第四項)こと並びに被告らは局長職にある者として当然管理職手当のほかは右の諸手当を支給されないことを併せ考えると、被告らが仮に正規の勤務時間外において勤務したとしても、その勤務に対する手当は管理職手当ですべて考慮されていると解すべきであり、被告らの従事する勤務が正規の勤務時間外、たとえそれが深夜に及ぶものであっても、それにつき特殊勤務手当を支給することは管理職手当と重複する結果となり、許されないと解するのが相当である。