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ID番号 01418
事件名 賃金および附加金請求事件
いわゆる事件名 静岡県事件
争点
事案概要  県職員組合の指令により一割休暇闘争に参加して年休指定日に出勤しなかった職員が、指定日の賃金をカットした県に対して、カット分の賃金の支払を求めた事例。(一審 請求棄却、 二審 控訴棄却、請求棄却)
参照法条 労働基準法39条4項
体系項目 年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1978年12月27日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和52年 (ネ) 749 
裁判結果 棄却(確定)
出典 高裁民集31巻3号549頁/労働民例集29巻5・6合併号976頁/時報924号124頁/東高民時報29巻12号290頁/タイムズ/労働判例312号42頁/労経速報1011号3頁
審級関係 一審/03384/静岡地/昭52. 2.18/昭和48年(ワ)392号
評釈論文 木村良樹・地方公務員月報189号55頁
判決理由  六 同一五丁表四行目の「2 しかながら」から同二〇丁裏七行目の「いわなければならない。」までを次のとおり訂正する。
 「2 しかしながら、労働者の就労しないことが年休の時季指定の形式によるものであっても、それが労働組合の主張を推進する目的で、その統制のもとに組合員の全員又は一部により一斉に行われ、使用者において時季変更権を行使する余地がなく、業務の正常な運営を阻害するものであって、その実質が同盟罷業に外ならないと認められるときは、年休は成立せず、労働者は右の不就労の日又は時間について賃金請求権を有しないと解するのが相当である。
 四(本件賃金カットの効力について)
 1 本件についてこれをみるに、前記一、二の事実からすると、控訴人らの本件年休の時季指定は、賃金確定についての県職の主張を有利に推進する目的で県職によってその戦術の一つとして計画、指令された本件割休闘争に基く、組織的、計画的な集団行為であることが明らかであり(本件割休闘争の目的の中に年休消化促進ということが含まれていることは前記のとおりであるが、このことは右判断の妨げとはならない)、しかも、右の時季指定は県職の各控訴人に対する個別的な指令、指名に基きなされたものであることは前記のとおりであって、これらの点からみれば、控訴人らは右時季指定に当り、時季変更権の行使に従う意思を有しなかったことは当時明らかであったのであり、各事業場において使用者側が時季変更権を行使する余地はなかったものと認めるに充分である。
 2 他面、各事業場において、一定割合の所属職員が、一斉に、かつ一方的に、その職場から離れることは、県の活動全体からみて、その業務の正常な運営を阻害するものであることは明らかであり、その程度に大小があるに過ぎない。そしてこのことは、本件割休闘争による年休時季指定者が各事業場につきそこに所属する組合員の一割に過ぎないことを考慮しても変りはない。
 3 右のとおり、控訴人らの本件年休の時季指定は、それ自体が前記の目的を貫徹するためになされた集団行為であって時季変更権と相容れないものであり、かつ、この時季指定に基づく一定割合の職員の職場離脱は被控訴人の業務の正常な運営を阻害する行為に当るというべきであり、これらの諸点に鑑みると、本件年休の時季指定による控訴人らの職場離脱は、その実質において、年休権行使に名を藉りた部分的同盟罷業というべきである。従って、控訴人らの本件年休の時季指定によっては年休は成立しなかったものであり、本件請求にかかる賃金請求権は発生せず、本件賃金カットに違法のかどはない。