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ID番号 01511
事件名 未払賃金等支払請求控訴事件
いわゆる事件名 タケダシステム事件
争点
事案概要  使用者が就業規則を変更して生理休暇について有給とする日数及びその額を変え実施したことにつき、労働組合の同意のない一方的な不利益変更であるとして、右実施による減額分の支払を求めた事例。
参照法条 労働基準法68条,89条
体系項目 就業規則(民事) / 就業規則の一方的不利益変更 / 生理休暇
裁判年月日 1979年12月20日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (ネ) 2749 
裁判結果 一部変更(上告)
出典 労働民例集30巻6号1248頁/時報954号3頁/東高民時報30巻12号341頁/タイムズ404号48頁/労経速報1035号3頁/労働判例332号16頁
審級関係 上告審/01519/最高二小/昭58.11.25/昭和55年(オ)379号
評釈論文 島田信義・労働判例336号4頁/野川忍・ジュリスト727号150頁
判決理由  就業規則は使用者が一方的に変更しうるものではあるが、労働者またはその所属する労働組合の同意がないのに、使用者が就業規則の一方的変更によって労働者に不利益な労働条件を課することは、原則として許されないと解すべきである。もっとも、労働条件の統一的かつ画一的な処理のため、たとえば、賃金締切期日が一カ月二回であったのを一回とするような、賃金計算方法の変更などは、それが労使関係においては合理的なものである限り許される余地もあろう。しかし、賃金計算方法の変更であっても、継続的契約関係としての労働契約関係上、長期的に実質賃金の低下を生ずるような賃金計算方法の変更は、労働条件のうちでも労使の利害が真向から対立する賃金額を左右するものであるから、たとえ、それが使用者にとって合理的にみえても、原則に立ち返って考え、許されないと解すべきである(東京高裁昭和五〇年一〇月二八日判決、高裁民集二八巻四号三二〇頁参照)。
 これを本件についてみるに、本件の就業規則変更が控訴人ら女子従業員について、生理休暇手当の減額を受けることにより、長期的に実質賃金の低下を生ずるものであることは既述したとおりであるから、この変更は労働者に不利益な労働条件を一方的に課するものとして、許されないというべきである。被控訴人は、この変更は、生理休暇制度の濫用、賃金総額の大幅上昇の点からみて合理性を有するものであるから、許されるべきであると主張するけれども、たとえ、使用者にとって合理的にみえても、本件のように実質賃金の低下を生ずるような就業規則の一方的変更によって労働者に不利益な労働条件を課することは許されないのであり、かりに生理休暇制度の濫用があるとしても、その抑制には別途の方策を講ずべきもので、これを理由に生理休暇手当の額を就業規則の一方的変更により減額することは許されるものではなく、また、賃金総額が大幅に上昇したからといって直ちに生理休暇手当の額を一方的に減額することが許されることにはならないから、本件規則変更の効力が生じないことは明らかである。