全 情 報

ID番号 01744
事件名 地位保全仮処分控訴事件
いわゆる事件名 信州名鉄運輸事件
争点
事案概要  いわゆるハガチー事件に関係したことが「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」との労働協約、就業規則所定の懲戒事由に該当するとして懲戒解雇された従業員が、右事情は懲戒事由には当らないとして地位保全等求めた仮処分申請事件の控訴審。(原判決変更、疎明に代わる立保証により申請認容)
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務外非行
裁判年月日 1969年4月15日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (ネ) 2349 
裁判結果 変更
出典 労働民例集20巻2号359頁/時報563号83頁/東高民時報20巻4号84頁/タイムズ234号146頁
審級関係 一審/04351/東京地/昭42.10.13/昭和35年(ヨ)2173号
評釈論文
判決理由  従業員は、労務提供以外の一般私生活面においては、原則的には、その行動を企業によって支配されるものではない。さりとて、企業の事業所外における、労務提供と直接関係なしに行われる民事・刑事の違法行為は、全く企業経営上の利益・秩序と無関係であり得ようか。いやしくも従業員が使用者との間に対価を伴なう契約を結び、これによって日常生活の保障を得ている以上は、直接の労務提供以外の場面においても、企業に有形無形の損害を与える等企業の運営に支障を及ぼし、または及ぼす虞れがあるような行為をしないという、企業外の一般人におけると異なった、前示契約に伴なう義務ないし拘束が存すると考えることが相当であって、従業員が若しこの義務に違反し、ないし拘束に対する使用者の信頼を裏切る行動に出て、ために法律的に保護に値いする企業の利益に不測の損害を生じた場合には、これを理由として懲戒処分を受けることがあっても、やむを得ないものといわねばならない。
 (中 略)
 被控訴人らが加わった前判示のような性格のハガチー事件を直近の原因の一つとして、現実に控訴会社の事業の運営に前判示のような支障と損害が発生したと見られる以上は、被控訴人らは、その所為と、そのもたらす将来の事態についての認識のいかんを問わず、前判示の懲戒処分の存在理由と、民主主義における自由と責任との法理とにかんがみ、被控訴人らが控訴会社の従業員としての地位についての責任、本件の場合における懲戒または諭旨解雇を免かれ得ない筋合いであることをかえりみるべきではないかと考えられる。