全 情 報

ID番号 03020
事件名 未払賃金請求事件
いわゆる事件名 岡山県職員事件
争点
事案概要  地方自治体が、定年退職者に対する退職手当支給に関し、定年制実施の日以後に定年を迎えた者に対しては割増退職手当を支給するが、それ以前に定年に達していた者に対しては、右割増退職手当を支給しないという内容の条例を制定したことが憲法一四条、地方公務員法一三条、労基法三条に違反しないか否かが争われた事例。
参照法条 日本国憲法14条
地方公務員法13条
労働基準法3条
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
退職 / 定年・再雇用
退職 / 退職勧奨
裁判年月日 1987年2月25日
裁判所名 岡山地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 692 
裁判結果 (控訴)
出典 労働民例集38巻1号74頁/労働判例507号66頁/判例地方自治36号18頁
審級関係 控訴審/04009/広島高岡山支/昭63. 9.22/昭和62年(ネ)43号
評釈論文
判決理由 〔退職-定年・再雇用〕
〔退職-退職勧奨〕
 相当の年齢に達した職員にあつては、個人差はあるものの一般的には当該職員に要求される労働の適格性が逓減するにもかかわらず、給与がかえつて逓増することは明らかであり、また個々の職員について労働能力を厳密に測定することは技術的に困難であるから、被告が職員の高齢化による人事の停滞、公務能率の低下、人件費の膨張等を回避するため、一定年齢に達した職員について退職を勧奨し、これに応じて退職した者(以下「勧奨退職者」という。)に割増退職手当を支給することは合理的なものであるということができるし、また同様に、二五年以上被告職員として勤続し定年に達したことにより退職した者(以下「定年退職者」という。)にその功労報償として割増退職手当を支給することも合理的なものであるということができる。
〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 改正条例附則三項は、二五年以上被告職員として勤続し法附則三条の規定により退職した者のうち、昭和五九年四月一日より前に定年に達した者を右の日以後に定年に達した者に比べて不利益な取扱いをするものではあるが、前述のとおり、右取扱いは合理的な根拠に基づくものであつて、いわゆる情勢適応の原則に反する不適当なものではないと認められる以上、同附則三項が憲法一四条一項、地公法一三条、一四条及び労基法三条に違反するものということはできず、また改正条例附則三項が改正前の旧条例の適用を定めたことをもつて法の一般原則に反するということもできないので、これらの点に関する原告の前記主張は理由がない。