全 情 報

ID番号 03066
事件名 戒告処分無効確認請求上告事件
いわゆる事件名 電々公社近畿電通局事件
争点
事案概要  年休の時季指定が成田闘争へ参加するためのものであるとして時季変更権が行使され、無断欠勤として賃金カットされたうえで戒告処分、文書注意処分に付された電々公社職員が戒告処分等の無効確認を求めたケースの上告審の事例。
参照法条 労働基準法39条4項但書
体系項目 年休(民事) / 時季変更権
年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 年休利用の自由
裁判年月日 1987年7月2日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (オ) 1524 
裁判結果 棄却
出典 労働判例504号10頁
審級関係 控訴審/大阪高/昭58. 9.28/昭和57年(ネ)2112号
評釈論文 秋山昭八・教育委員会月報454号4~11頁1988年6月/小野一彦・地方公務員月報295号41~50頁1988年2月
判決理由 〔年休-年休の自由利用(利用目的)-年休利用の自由〕
〔年休-時季変更権〕
 年次有給休暇の権利は、労働基準法三九条一項及び二項の要件が充足されることによって法律上当然に労働者に生ずる権利であり、労働者がその有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して休暇の時季指定をしたときは、使用者が適法な時季変更権を行使しないかぎり、右の指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものであり、また、年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであって、休暇をどのように利用するかは使用者の干渉を許さない労働者の自由であると解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和四一年(オ)第八四八号同四八年三月二日第二小法廷判決・民集二七巻二号一九一頁、同昭和四一年(オ)第一四二〇号同四八年三月二日第二小法廷判決・民集二七巻二号二一〇頁)。したがって、本件時季指定自体が信義則に反し権利の濫用になるものではないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。