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ID番号 03098
事件名 時間外賃金等請求事件
いわゆる事件名 京都福田事件
争点
事案概要  五名の従業員がタイムカードに記載された労働時間数を根拠に時間外労働賃金および附加金を請求した事例。
参照法条 労働基準法37条
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間の概念 / タイムカードと始終業時刻
賃金(民事) / 割増賃金 / 支払い義務
裁判年月日 1987年10月1日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (ワ) 121 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例506号81頁/労経速報1312号9頁
審級関係 控訴審/04716/大阪高/平 1. 2.21/昭和62年(ネ)1954号
評釈論文 末啓一郎・経営法曹97号34~40頁1991年6月
判決理由 〔賃金-割増賃金-支払い義務〕
 被告は原告らに対し、展示即売会、諸会議、プラント検査の準備等において具体的な指示を与えて所定労働時間外の労働を命じたり、また、保険業務、デリバリー、ミキサー車の配送、その他の各業務において一定の処理基準を定め、その基準によれば当然所定労働時間外の労働を行わなければならないような労働を命じることが多くあったことが認められる。そして、代表取締役は従業員が常に所定労働時間外に労働することを当然のことと考えていたことが窺え、残業食についても、私用で会社に残っている従業員に毎日被告の費用で食事を出すとは考えられないから、被告は残業を日常のこととして制度に組入れて、毎日残業食を出していたものと認められる。これらの点に加え、(証拠略)によれば、原告X1、原告X2、原告X3らはほとんど毎日のように午後六時頃や午後七時頃まで会社に残っていたことが認められ、このように継続的に終業時刻後も退社せず私用で残っていることは特段の事情でもない限り通常認め難いことであり、右特段の事情を認むべき証拠はないから、これらは残業を行っていたものと推認できる。これらのことを併せ考えれば、被告においては残業は日常的に行われていたことが認められる。
〔労働時間-労働時間の概念-タイムカードと始終業時刻〕
 右のとおり、被告はタイムカードによって労働時間を管理していると認められるから、原告らの時間外労働の時間数もタイムカードによって認定することが相当である。